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1月11日(火)

 朝、会社に着くとFAXにエラーランプがついていた。

 詰まった紙を取り出すと、受信途中だったFAXが印刷されてきたのだが、それが止まらず次から次へと印刷されてくるではないか。

 この機械、ここ数週間調子が悪かったので、ついに壊れたかと思ったが、印刷されてくるのは本屋大賞の一次投票だ。そうなのだ、昨夜0時が〆切で、その投票用紙が今、出てきているのである。

 それにしても多すぎるのではないか。
 多いのはいいことだが、ネット投票と違ってFAX投票は改めて打ち込まなければならないのだ。
 誰が? 私がだ。
 しかも本日から集計が始まるわけだから、早急に打ち込まなければならない。

 私には今、連続刊行すべき単行本2冊の編集作業、その本の営業、「本の雑誌」333号記念特大号の特集など、本屋大賞がなくても人生で一番忙しい状況なのだ。しかし何を差し置いてでも、とにかくこの一次投票を打ち込まねばならない。

 というわけで朝9時から夕方まで延々と打ち込み作業。

 それを終えてやっと今日の仕事が始まる......はずが、今夜は『身体のいいなり』&『腰痛探検家』出版記念で、内澤旬子さんと高野秀行さんのトークショーがジュンク堂新宿店である。両著とも本の雑誌社の刊行物でないにも関わらず、なぜか私がセッティングなどしたもんだから立ち会わないわけにはいかない。

 その会場で高野さんに会うと「杉江さんはもう個人NPOみたいな人だよね。儲からないことばっかりやって」と笑われるが、そうではないのである。

 私はこう見えてもものすごく計算高く、常に利益のことを念頭において右手でソロバンをはじいているのである。ただふつうの人と時間の概念がずれており、今や企業は四半期ごとに決算をしているが、私の人生は、四半世紀ごとに決算しているのであった。

 だから本屋大賞にしても、この夜のイベントにしても一切私は儲からず苦労ばかりしているように見えているが、おそらく25年後には、本の雑誌社の本がまるで直木賞のように本屋大賞に毎年選ばれるようになり、そして高野さんも内澤さんもその頃は村上春樹のような大ベストセラー作家になっていて、私のフトコロはウハウハ。その頃、おそらく中国企業に買われそうになっているであろう浦和レッズを救う予定なのである。

 トーク終了後、ものすごく仕事が気になるが、大竹聡さんも交えて打ち上げ。

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