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4月11日(木)

 相変わらず気持ちが沈んでいる。本屋大賞の後は毎年ブルーになるが、今年はちょっと大きい。
 直行で大宮のNACK5へ。「セイタロウ&ケイザブロー おとこラジオ」に目黒さんが出演するというので、その収録にお邪魔する。

 その途中、大宮駅のブックエキスプレスにて品出ししているHさんの姿を見かける。しかし朝の忙しい時間帯なので一瞬声をかけるのを躊躇するが、『本屋大賞2013』の注文でお世話になっていたのでその御礼を伝えたく、『謎の独立国家ソマリランド』の書評が掲載されているという「週間文春」を購入しつつ、ご挨拶。
 するとHさんはパッと顔を輝かせ、こう言ったのだ。

「本屋大賞(『海賊とよばれた男』)すごい売れてますよ! 昨日なんて朝シャッターを開けたらお客さんが駆け込んできて、『本屋大賞どこ?』って聞かれましたよ」

 その笑顔を見て思い出したのは、2004年に初めて本屋大賞を発表したときのことだ。あのときは出版社も書店さんもそして私たち実行委員会も疑心暗鬼で、果たして発表したもののこういった賞のもとに本が売れるのだろうかと期待と不安のなかその日を迎えたのだ。そして、その翌日、当時銀座の数寄屋橋阪急にあった旭屋書店(いまや書店がなくなっただけでなく、阪急の建物も取り壊されている)を訪問すると、文芸担当のOさんが私の顔見るなり「売れてる、売れてる!」と嬉しそうに駆け寄り、『博士の愛した数式』を指さしたのだった。

 結局、私はこの、本が売れているときに見せる書店員さんの笑顔が見たくて、この十年間本屋大賞を続けて来たのかもしれない。

 収録は無事終わり、目黒さんと大宮で昼食。「WIN5」という馬券の買い方を教わる。その後、営業。

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