11月28日(木)
- 『日本推理小説論争史』
- 郷原 宏
- 双葉社
- 2,700円(税込)
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『日本推理小説論争史』郷原宏(双葉社)がおもしろい。
そのタイトルどおり推理小説界に起こった様々な論争がまとめられた本なのだけれど、論争をひもとくことによってそれぞれの作家や評論家の小説観・ミステリー観が伝わってきて、小説にはこんなにも様々な読み方があるのか、そしてそんな強い意志を持って書かれるのかとついつい胸が熱くなる。
リアルタイムで論争することができるネットが出現したとき、こういった論争はもう雑誌ではその時間経過がまだるっこしくて耐えられないものになるのではと思ったけれど、実はそうではないことをこの『日本推理小説論争史』が教えてくれる。
例えば月刊誌ならその1ヶ月間に、それぞれの論者が自身の説を見つめなおし、なおかつ相手を論破するための論理を冷静に練ることができる。だからこそ論争に深みが増し、炎上することなく、このような小説論になりえたのだ。
平松洋子著『本の花』と『おすすめ文庫王国2014』の見本を持って、取次店さんを廻る。これさえ終われば、年内の新刊は終わり。