2月19日(金)
公立高校へ願書出願に行く娘と一緒に家を出る。自分が15歳のとき、もう親なんかいなくても生きていけると思っていたけれど、駅の反対側のホームに立つ15歳の娘はあまりに小さい。過ぎ去る電車をいつまでも見つめる。
発売前にプルーフで新作が読めるのはうれしいのだが、本が出る頃に熱が冷めてしまっていることが少なくない。
ということで熱が冷める前に書いておくけど、3月30日発売予定の安藤祐介『不惑のスクラム』(KADOKAWA)は、本を読んでこんなに泣いたのはいつ以来だろうかと驚くほど、ハンカチ大活躍の人情スポーツ小説だ。
40歳以上が集まる(若干年下もいるけど)不惑ラグビーチーム・大江戸ヤンチャーズを舞台にしたこの小説がここまで胸に響くのは、週末のラグビーと月曜日から金曜日のウィークデーの日常がしっかり融合されているからだろう。ラグビーなんてちっとも知らなくても号泣だ。まだ2月だけれど上半期ベスト1決定。
浜本と浜田がお休み。あとひとり休んだら学級閉鎖か。
とある美術館の売店で店長をしている大ベテランの元書店員Iさんから電話。今年で定年になるそうなのだが、なんと、その後、地元で本屋さんを開店するという。
すごい時代になってきた。こんなにあちこちに独立書店がオープンする時代が今まであっただろうか。少なくとも私がこの業界に入ってから四半世紀の間、こんなことは一度だってなかった。いつだってオープンするのはチェーン書店で、町の本屋さんは閉店する一方だった。
それがここ数年どうだろうか。つい最近オープンした荻窪のTITLEさんしかり、京都の誠光社さんしかり、かもめブックスさんしかり。あちこちに個性あふれる本屋さんがオープンしているではないか。
大きな数字を見ればもちろん本屋さんはどんどん減っているのだけれど、何か別のものが今、生まれようとしているのは間違いない。こんなにワクワクする時代がやってくるとは思いもしなかった。
三省堂書店さんに寄って、田口洋美『新編 越後三面川人記』(ヤマケイ文庫)を購入して帰宅。