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6月21日(火)

 歯を磨いていると、妻が昨日あった息子の家庭訪問の報告をしてくる。

 運動会のクラス対抗リレーで、息子のクラスは2着でゴールしたものの、テークオーバーゾーンで失格になったのだけれど、そのオーバーゾーンした子がいじめられたんじゃないかと心配した先生が、翌日職員室で「何か言われなかった」と訊ねたら、「杉江さんに言われた」と。「なんて言われたの?」と問い詰めると「誰でも失敗するから気にしないでいいよ」と慰めてくれたのだと先生が涙をため妻に話したそうだ。

 サッカーも勉強もできないけれど、息子は親よりもまっとうに育っている。

 早出。『餃子バンザイ!』のパネルとPOPを作っていると注文の電話。ブックカバー。本当に本の雑貨社になっていまう。がんばれ編集部。

 そのブックカバーをジュンク堂書店池袋本店さんに直納し、コミック売り場で吉野朔実さんの原画展の打ち合わせ。

 矢部さんとランチ。できたばかりの重版分を渡し、行商していただく。かたじけない。

 とある書店さんを訪問。長年の付き合いのある書店員さんが昨年より本部から売り場に復帰したのだけれど、その書店員さんが担当したジャンルが、オープン以来一度も昨対クリアーしたことがなかったのに、この一年110%を越える売上をあげたという。頑張っている姿を見ていただけになんだか涙があふれてくる。当然売り場を見れば、ここで本を買いたくなる棚になっている。ぴかぴかだ。これから給料が出たらこちらに来よう。

 夜、とある店長さんと酒。妙に感謝されてこそばゆい。

6月20日(月)

  • Introduction to Elliott Smith
  • 『Introduction to Elliott Smith』
    Smith, Elliott
    Kill Rock Stars
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  • Before This World
  • 『Before This World』
    Taylor, James
    Concord Records
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 登校支度の済んだ娘が「車で送って」と言ってくる。雨は降っていない。「なんで?」と尋ねると「足が筋肉痛で歩けない」という。

 そういえば昨日の日曜日、ランニングについてきた娘を大自然あふれマイナスイオンが降りそそぐ15キロコースに招待したのであった。

 5キロくらいまでは平気で背中を追ってきたものの8キロを過ぎたあたりから足音が小さくなり、振り返れば娘との距離は開く一方。元々ずいぶんペースを落として走っていたものの、私にとってはほとんど歩くのと変わらぬペースまで落とし、娘の背中を押すように走ったのだった。

 それでも一度も歩くことなく、いきなり15キロ走れるというのはすごいもんだ。こうなったら娘と二人でフルマラソンを目指し、『ランニングデイズ』でも執筆するか。

 早出のため娘は送らずに出社。週末のうちに届いていた原稿をタイプし、そののち新刊DMを作成。

 先週、校了が終わったら何もしない編集者にPOPでもパネルでもつくって一冊でも売る努力をしてみろと叱責したところ、パネルを作りましたと持ってきたのだけれど、これが表紙とほとんど変わらぬデザイン。

 いったい何のために、どこにパネルがつくのかまるで考えていない。こんなものは柏木の守備と一緒で、ただそこにいるだけ。アリバイパネルであり、アリバイPOPは付けるだけ邪魔で迷惑。結局自分で作ることにする。

 11時、ネット書店B社のOさん来社。大変そうなので、励ます。

 13時、高円寺の文録堂N店長とランチしながら、今週25日(土)13時よりに行う「絲山秋子と書店員による『公開書簡フェア』座談会」のイベント打ち合わせ。なぜに私がやっているかというと、この往復書簡を電子書籍化させていただくのだ。

 そののち、営業。荻窪のTitleを訪問し、辻山さんに208GATE制作の『矢部潤子とリブロ最後の日 2015年7月20日』を渡す。リブロにいらした辻山さんの朝礼の姿を掲載しているのだ。

 それにしてもTitle。これまで4度ほど訪問しているが、一度だってお客さんがいなかったことがない。そりゃあ当たり前だろと思われるかもしれないが、ここは最寄りの荻窪駅から徒歩15分ほどかかるのだ。もちろん近所のお客さんもいらっしゃるだろうが、恵文社一乗寺店同様Titleで買い物するために遠方よりいらしている方が多いように見える。

 本日も手に何冊も本を抱えたお客さんがゆっくりと棚を回遊し、レジでは辻山さんと二、三言、本や作家の話をしている。本屋ツーリズムという文化が生まれているのかも。

 ぐぐぐっとバスで西武新宿線に移動し、田無のリブロでYさんに『矢部潤子とリブロ最後の日 2015年7月20日』を渡した後、上石神井のオリオン書房さんを訪問。エキュートから異動して以来のHさんにご挨拶。「なんか年々若返ってませんか?」と驚かれる。

 帰社。あちこちにメールを送って、疲労困憊。

 帰宅すると、週末に観た映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のエンディングテーマ「Miss Misery」で電撃が走り(映画もよかった)、即注文した「Introduction to Elliott Smith」Elliott Smithが届いていた(送料無料にするためほしい物リストにいれておいた「Before This World」James Taylorも同時に注文)。

 早速聴くと、これがもう今、私が求めていた音楽そのもの。そのままヘビロテしつつ就寝。

6月17日(金)

 本の雑誌社とは別にセルフ・パブリッシングレーベル「208GATE」を設立す。

 本の雑誌社でも好き勝手に本を作ってきたのだけれど、もっと自由に、もっと自分の想いのままに本を作り、売りたいという願いから、仕事とは別に、誰にも邪魔されず自分自身の想いだけで本を作るレーベル「208GATE」を立ち上げることにした。

 レーベル第1作目は『矢部潤子とリブロ最後の日 2015年7月20日』。A5変型判、36ページ、税込み300円(実費)。

 既存のフォトブックサービスを利用した印刷・製本で、まもなく一年が過ぎようとしているリブロ池袋本店最終日と最も尊敬する書店員・矢部潤子さんを追った写真集だ。

 できたばかりの本を矢部さんに届けると、「うれしい! これは棺桶にいれる」とたいそう喜んでいただく。しかし隙間の開いた平台や荷物の積まれた台車の写真を見つけると、なにやってるんだいったい、早く荷物を出せ!と書店員魂炸裂。

 ちなみに「208GATE」の本は、基本的に代金は実費とし、本は手渡しすることにする。求めているのは利益ではなく、想いを共有すること。数ではなく熱。読者と直接会って、目の前で本を手渡したときの感情を実感したい。

 なんて書いているうちに、初版分、重版分ともに予約でいっぱいになってしまい、早速キャッシュフローに頭抱える。

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6月16日(木)

 朝イチで、今柊二『餃子バンザイ!』の見本を持って取次店さん廻り。N社、T社ともに担当者が代わり、初めましてのご挨拶。期せずして"餃子ブーム"が来ているらしく、好評いただく。それにしても見本出しが11時前に終わってしまうなんて隔世の感。

 いったん会社に戻ってデスクワークした後、銀座の教文館さんにブックカバーを追加納品。やっぱり「本の雑貨社」のほうが人気ある。頑張れ、編集部。

 夜、神田のカレー居酒屋「トプカ」で酒。お相手はなんと「ダ・ヴィンチ」編集長関口さんとデスクの川戸さん。禁断の移籍話が進行中?! 興梠慎三になるか青木拓矢になるかは私の実力次第。

6月15日(水)

 ネットでガンバ大阪戦を追いかけるも前半で失点。頭に来てランニングに向かおうとすると妻から「ちょっと待って」と声をかけられる。

 昨日から娘もランニングを始めたらしく、もうすぐ部活を終えて帰ってくる頃だから一緒に走ってあげてという。そういえば数日前、高校の30分ハーフの試合で体力がもたないと嘆いていたのだ。

 娘は高校に入学すると、軽音部に入るかと弓道部もいいかと悩んでいたものの結局女子サッカー部に入部届けをだした。そして部員は多いものの経験者の少ない部で、いきなり3年生に混じって試合に出始めた。

 これまで小中のクラブチームではいつも5、6番手の選手で、誰かに任せていればよかったものの、初めて期待と責任を背負い、ついに眼の色が変わったようだ。毎日夜遅くまで部活に励み、ついには自ら走りだしたとは。娘の「サッカーデイズ」はこれからが山場なのかもしれない。

 その娘の帰宅を待って、一緒にランニング。どれくらい走れるものかとゆっくりスタートし、徐々にスピードをあげていく。娘と最後に走ったのはいつ頃だっただろうか。小学校5年、いや6年だっただろうか。あの頃は赤信号で止まる度に肩で息をし、少しでも遠くなりそうな方向に私が歩みを向けると、ダメダメこっちとまっすぐ家に帰る道に腕を引っ張ったのだ。

 その娘が後ろから息も乱さずついてくる。

6月14日(火)

 平塚のサクラ書店ラスカ店さんを初訪問。残念ながら店長のYさんはお休みでお会いできなかったものの、本を届ける熱意にあふれた売り場を堪能する。

 昼飯代わりに駅前でみつけた平塚銘菓「都まんじゅう」をパクつく。ほんのり甘いふかふかの生地と白あんが絶妙。10個一気食い。

 そののち東海道線各駅停車で営業。やっぱり私は有隣堂藤沢店さんが好き。建物は古いけれど、整頓された売り場の由緒正しき本屋さんで、品揃えも含めこの安心感はたまらない。有隣堂さんの名物でもある手書きPOPも踊り、いちだんとパワーを増している。

 夜、10年来の付き合いの書店員さんと元町「JH Cafe」にて酒。店内に飾られた映画スターの写真を指差しながら盛り上がる。

 21時半後ろ髪を引かれる思いで中座。なにせここから家まで2時間かかるのだ。

 その帰路で志水辰夫の『疾れ、新蔵』(徳間書店)読了。終盤にドタドタといろんな要素が投げ込まれ、なんだか消化不良。

6月13日(月)

 ひどい二日酔い。サッカーの。頭の中をサッカーがぐるんぐるんしている。

 週末、二日間とも埼玉スタジアムにいて、一日は観戦、もう一日はフットサルをしていたせい。齢とともになかなか抜けなくなっている。

 目をつぶれば宇賀神の驚異的というよりは脅威的なミスパスと、前日の自分のゴールが交互にフラッシュバックする。毎日ボールを蹴りたい。毎日サッカーしたい。正真正銘サッカー中毒。

 午前中、デスクワーク。手紙2通。ブックカバーの大量注文届く。ますます「本の雑貨社」に近づいていく。
 午後、営業。伊野尾書店伊野尾さんと長話。

 帰宅後、だいぶサッカーが抜けて来たので、志水辰夫の『疾れ、新蔵』(徳間書店)読み出す。冒頭よりストーリーが動きだし、一気にのめり込む。シミタツの時代小説を読めるのはなによりも至福。

 そういえば週末に読み終えた中島岳志『血盟団事件』(文春文庫)は、現代とも相通じる社会状況のなか、生きることに苦悩する若者たちがなぜ「一人一殺」のテロに向ったのかを、資料に溺れることなくしっかり飲み込み消化された上で書かれた第一球の歴史ノンフィクションだった。

6月6日(月)

 出社すると事務の浜田がおかんむり。なにやら先週やってきた目黒さんに「絶対だよ! 年で一番楽勝なレースだよ」と教わった安田記念が大ハズレだったらしい。

 しかしそれは同情の余地無し。なぜなら目黒さんの予想がこれまでに当たったことがあっただろうか。

 去年のジャパンカップも「今年いちばん自信のある予想を送ります。ジャパンCを勝つのは3歳牝馬のミッキークイーンです。府中の2400で、4キロ差があるなら,ラブリーデイに負けません。これだけは自信があります」と堂々とメールしてきたにも関わらず、ミッキークイーンは8着。

 信じる方が間違っている。

 営業は初訪問のお店へ。しばし店内をうろつき、本の雑誌社の本がミスマッチにならないか考え、声をかけたりかけなかったり。本当はそんなこと考えずに飛び込めるのが営業マンなんだろうけど、つい考えてしまう。

 神保町交差点で石橋毅史さんと会う。石橋さん、まもなく『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)を出版する。主に、注文出荷制で流通と決裁を代行するトランスビュー方式を取材したものらしい。石橋さんの出版業界への尽きぬ想いにただただひれ伏す。

 夜、コンビニに缶ビールや乾き物を買い出しに行き、某出版社の某編集者と社飲み。22時終了。社飲みは安いし、切り上げやすいし、周りの耳も気にしないで済むから断然いい。

 帰宅途中、Twitterを開くと高野秀行さんが「ソマリランド本がアマゾンで突然バカ売れしてる」とツイートされており、あわててAmazonの順位を確かめると88位。いったい何があったんだろうか...と検索するもわからず。宿題。

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目黒さんの予想を書き記した浜田のメモ

6月4日(土)

 朝早く、息子の試合の当番で市民グラウンドに向かうも、片隅にイスを置くと試合も観ずに本をむさぼり読む。

 遠田潤子『雪の鉄樹』(光文社文庫)。

 木曜日に会った目黒さんから「この本を読まずに文庫王国の1位は決めるなよな」と脅された一冊だったのだけれど、まさにその目黒さん(北上次郎)が解説で書かれているとおり「すごい小説」であり「息の抜けない小説」だった。

 物語は不在の人でいっぱいだ。庭師の雅雪の父親と母親、やっと買い手のついた扇の家のかつての住人、そして雅雪が面倒をみる少年遼平の両親。どうやらいない人同士が密接に絡み合った過去があるようなのだが、その謎はなかなか解き明かされない。

 息子のチームがゴールを決めベンチで歓声があがろうと、息子が交代出場したことを妻から知らせれても、ページをめくることに集中していた。

 予想を越える展開とその奥に潜む作者の怨念のような熱に浮かされて454ページ一気読み。気づけばグラウンドで声をあげて泣いていた。ほんとうに「すごい小説」だ。

6月3日(金)

  • 遙かなるグルクン
  • 『遙かなるグルクン』
    中村 征夫,ナショナル ジオグラフィック,中村 征夫
    日経ナショナルジオグラフィック社
    3,740円(税込)
  • 商品を購入する
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    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 夜、中村征夫さんのトークを聞きに、東京堂書店さんへ。満員御礼。

 返還前から通い、撮り続けてきた沖縄の追い込み漁(アギヤー)の様子をまとめた写真集『遙かなるグルクン』(日経ナショナルジオグラフィック社)がとにかく素晴らしい。

 人が知恵を絞り、身体を使い、不安定な自然のなかで生きていることを伝えてくる写真を見ていると、あっという間に時間が過ぎていく。

 写しだされる漁師さんもカッコいいが、年を重ね、このような立派な作品を残せる征夫さんもカッコいい。

 写真集といえば、先月買い求めた塙紘『利根川を往く』(春風社)も素晴らしかった。

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