1月5日(木)
年末年始の休暇は、初詣に精を出し、できるかぎりの神社やお寺をめぐり、神頼みに勤しんだ。もちろん願ったのは、鹿島アントラーズに掠め取られたJリーグのシャーレ奪還。
一週間ぶりの仕事も、Yシャツのボタンをとめるとすぐさま仕事モードに切り替わる。というか、よもやいつでもスマホで仕事のメールが読めてしまう時代なので、オン・オフという感覚はほとんどなく、長期休暇中も常にアイドリング状態といったところ。
通勤読書は、読もう読もうと思っていた『ブラックライダー』東山彰良(新潮文庫)にやっと手を付ける。あまりに状況説明が少なく読み始めは苦戦したものの、映画のような描写とセリフに徐々に引きこまれていく。それにしても登場人物一覧は欲しかったか。
出社。2017年の本の雑誌社が幕開け。1976年創刊の「本の雑誌」は41年目を迎える。今年は某所で大規模な本の雑誌展を開催予定。
社員各自と新年の挨拶。昨年いっぱいで編集の宮里が退社したため、新入社員の高野が本日初出社。といっても一年以上前から一緒に机を並べ働いていたので、滞りなく引き継ぎ完了。
机に向い、今年は初心に戻ることを誓い、筆ペンを握って「心機一転」と書き初めをしていると、事務の浜田より新入社員の荷物置き場づくりを申しつかる。筆ペンをトンカチとドライバーに持ち替え、三段の棚を組み立てる。2017年の初仕事。そののち、3日に締め切った本屋大賞一次投票のFAX投票を必死に打ち込む。
あっという間に2時。セブンイレブンに行き、意を決して牛乳を買い求める。NHK「ガッテン」で牛乳が尿酸値を劇的に下げると言っており、高尿酸血症と痛風に悩む私には大変な朗報なのであるけれど、実は私、高尿酸血症以前に、心のアレルギーで小学校6年生以来牛乳を口にしたことがないのである。15分ほど紙パックの牛乳とにらめっこし、息を止め、33年ぶりの牛乳を喉に流し込む。
NHKといえば昨日放送の「クローズアップ現代」で紹介された『サピエンス全史』(河出書房新社)が大ブレイクの兆候。2017年初ベストセラーか。
午後、印刷会社より、今月の新刊『Y先生と競馬』の紙焼きが届く。明日校了。すべての仕事を中断し、最後の読み込みに勤しむ。何度読んでも面白く、ついつい読み進んでしまうが、確認作業なので冷静に読まねばならぬ。それでも一文一文に魂を注ぎ込みながら読む。「私」という人間を本を通して作ってくれた山口瞳を蘇らせるのだ。