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1月3日(金)

 息子がどうしてもジャージを買いたいというので、娘を送りつつその娘がアルバイトしているスポーツショップに初潜入する。題して「はたらくおねえちゃん」。しかし娘に見つかると家庭外退去処分となるため息子はスパイクケースに隠れて入店。娘の視線をかいくぐり店内を徘徊、正月大バーゲンの50%オフの中からプーマの真っ赤なジャージを見つけると息子はすぐさま私に渡してくる。どうやら私がお年玉をあげてなかったことがバレていたらしい。

 そうしてただいま息子がオタク化しているスパイクコーナーに行くと、そこには二足目半額の文字が記されており、突如息子はトレーニングシューズとランニングシューズを欲しがり、そして私もランニングシューズが履きつぶれて両つま先に穴が空いていたことを思い出し、ここで購入すべしとランニングシューズを選ぶ。

 二足目半額ならば三足目は半額の半額75%オフになるのではないかと期待を寄せてレジに向かうとそこには娘が立っていて、なんでお前らこんな山のように買い物してるんだという怒りをぐっと飲み込み営業スマイルを浮かべ、値札を素早く読み取り、あっという間にお会計完了となった。娘から初めて言われる「ありがとうございました」という言葉を胸に帰路につく。ちなみに三足目は通常価格らしく、偶数で買う必要があったらしい。

 それにしてもジャージとトレシューとランシューを手に入れた息子にずいぶんとお年玉を奮発してしまったもんだと薄くなった財布を眺めていたら、「父ちゃん、おれ半分出すよ」といってジジババからもらったお年玉から一万円をくれるのだった。父ちゃんありがたくて涙がでてくらあ。もはや私の子育ては卒業したといっても過言ではない。

 夕方、その息子と試靴をかねてランニングに出かける。彼は小学校一年生から中学三年生までほぼすべての余暇の時間をサッカーに費やしてきており、上手い下手は知ったこっちゃないがとにかくグラウンドを走り回ってきたのである。だから両足の筋肉は私以上にパンパンだったはずが夏に部活を引退し、くだらぬ受験勉強に勤んだ結果、たった5キロを過ぎたところで運動不足から両足を吊ってしまったではないか。その情けなさに本人が一番驚きつつ、涙目になってギブアップ宣言。ランニングコースの最も遠いところから肩を並べて歩いて帰る。令和の時代は偏差値よりも筋肉が大事な世の中になってほしいものだ。

 夜、平民金子『ごろごろ、神戸』(ぴあ)を読み進む。やはりこのエッセイは素晴らしい。

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