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5月4日(月)

 朝食時、4時からランニングねと声をかけても返事のなかった娘だが、3時50分になると着替えてリビングにやってきたので、私も着替え娘とラン。前回は1キロほどで息があがってしまい散歩に切り替えたので、今日は2キロを目標にしようというとくちびるを尖らしたものの、黙って私の後を付いてくる。

 しかし前回リタイアしたところをどうにかクリアし、しばし走ったところで赤信号で立ち止まると激しい呼吸で座り込んでしまった。若いとはいえ、そうは簡単に体力は復活しないものだ。

 今日はここでやめるかと声をかけると、娘は首を振って、立ち上がり、ゴール地点と見定めていた有料道路の料金所を見つめ、青信号に変わった横断歩道を渡り、走り出す。

 そうだった。サッカーしていた頃の娘は負けず嫌いでいつもこうして対戦相手のFWや自分の壁に立ち向かっていたのだ。

 あれはいつだっただろうか。高校の女子サッカー部でのことだっただろうか。たまたま見に行っていた試合のハーフタイムで、足を引きずってベンチに戻ってきた娘は、私のところにやってくると足首をもみながら痛いと涙目になって訴えてきたのだ。

 痛みがあるときに無理をするとさらに悪化してしまうし、悪化させたら長引くだろうと、後半は交代して休んだほうがいいとアドバイスしたのだけれど、ハーフタイムの終了を告げる笛の音が聞こえると、娘は「やるっきゃないでしょ」と言って、颯爽とピッチに戻っていったのだ。

 上手い選手はたくさんいるけれど、強く戦える選手はなかなかいない。私はそういう選手が大好きだったし、娘にはそういうサッカー選手になってほしいと願っていたのだ。

 目標の2キロを走り終えた娘とハイタッチし、ゆっくり歩いて帰宅する。

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