書店員矢部潤子に訊く/第4回 お店を動かす(2)売る数を入れれば無駄な作業も減る

第2話 売る数を入れれば無駄な作業も減る

── もし矢部さんがそういった人が足りてなくて作業途中の段ボール山積みみたいなお店に異動になったら、まずはなにをするんですか? とりあえずは品出しして返品するんですか。

矢部 それしかないよね。

── 棚作りとかは脇において、まずはこの状態をリセットしないといけないってことでしょうか。

矢部 うーん。同時進行で色々と見直していくんだけど、まずは毎日来ている荷物の量を確認します。一日の送品量とそこから返品がどれくらい出るのかは一週間もすればわかってくるから、今度は雑誌と書籍の送品を見直します。

── それって取次店に連絡するんですか。

矢部 そう、取次。いまはどういう仕組みでそういうやりとりをしているのかわからないけど、取次のシステムで入力したり、以前は納品に付いてくる定期改正の用紙に書いたりしていました。

── それは一律に何%なんてわけではなく、雑誌ごとなんですよね。

矢部 もちろん。この雑誌は毎号50部送られてきているけど、10部でいいとか。あの当時は向こうもそれを手作業でやっていたから、すぐには変更されなくてね。実際に変更になるまで3ヶ月くらいかかったりしてたの。それがだんだん簡単になってなんとかリストっていうのができるんだけど、そのリストがすごい量で、おまけになんだか条件があって意外に面倒だった覚えがある。でもやらないとね。

── なるほど。

矢部 書籍は、現状の配本を確認して、どんな仕組みでこの量が入ってくるのか確認します。以前はビジネス書パターンとか文芸書パターンとかあって、それぞれ段階があって、その一覧表で増減していました。お店の売れ行き傾向と照らし合わせてね。

── そういったことをやっている最中、来る荷物を何割くらい減らしたいとか目標は頭のどこかにあるんですか。

矢部 減らしたいというより、売れるか売れないかですね。

── あっ、はいっ!

矢部 より精度の高い送品にしたいわけだから、売り場の現状に見合った数字に改正します。売上げを上げるためにも、無駄な作業を減らすためにもね。

── そうやって少しずつ無駄だった物量をコントロールしていき、次は働いている人たちでどうやって回していくかっていうことを考えるんですか? さっきお話されたようにパートさんたちには、品出しをやってもらうとか。

矢部 本当は配本を見直すと同時に、自分の店の棚配置とか棚の分量はこれでいいのかっていうところも考えたほうがいいよね。今の売上に見合っているのかどうかも含めて。売上と全体の坪数に対するジャンルの構成比があるわけじゃない。

── はい。

矢部 20%も売り場比率を占めてるのに売上構成比が5%しかないから、売り場も5%にしようとか。本当はそれが正しいのかどうかも実はわからないし、あまり自信もないんだけどね。売り場を5%にしたら、売上は1%になっちゃうかもしれないし。でも、まずは多少是正する。それに売上げの中身も見ないとね。ある新刊が爆発しているだけってこともあるから。

── 実用書とかは平台だけが売れてたりすることありますよね。

矢部 そう。大きな平台だけあれば棚は少なくていいとかそういうのを見ていく。以前は棚の尺数を出していて、ジャンルごとの棚尺数で考えて、棚尺構成比と売上がなるべく1対1になるように見ていたりしました。

── そのバランスが悪いと見直すようにしていたんですか?

矢部 そう。ジャンルの増減を見直して、こんどは店全体の構成も考えないといけないし。

── そうなりますよね。

矢部 効率だけでなく、こういうお店にしたいという夢と希望もあるでしょ。


聞き手:杉江由次@本の雑誌社

(第4回 第3話に続く)


矢部潤子(やべ じゅんこ)
1980年芳林堂書店入社、池袋本店の理工書担当として書店員をスタート。3年後、新所沢店新規開店の求人に応募してパルコブックセンターに転職、新所沢店、吉祥寺店を経て、93年渋谷店に開店から勤務。2000年、渋谷店店長のときにリブロと統合があり、リブロ池袋本店に異動。人文書・理工書、商品部、仕入など担当しながら2015年閉店まで勤務。その後、いろいろあって退社。現在は㈱トゥ・ディファクトで、ハイブリッド書店hontoのコンテンツ作成に携わる。

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