『この子オレの子!』刊行記念製造元対談  夫(中場利一)×嫁

この子オレの子!
『この子オレの子!』
中場 利一
本の雑誌社
1,620円(税込)
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嫁:まずは出版オメデト。いいタイトルよね、あの子オレの子!

夫:この子や! あの子やったら他人の子や! 犯罪や!

嫁:そうそう、この子オレの子! 実は500ページ以上あったのよね。

夫:おう、大長編エッセイや。

嫁:それを半分くらいにケズった?

夫:うん。オレはそのままでエエやんけて言うたんやけどな。

嫁:でもエッセイでそんなぶ厚い本ないでしょ。

夫:そやから著者名をやな、船戸与一郎とか京極夏広にしたら、間違って買う奴おるやろ。

嫁:バカ! なに考えてんのよ! いつも言ってるよね。自分が春木出身だからってペンネームを村上春木にして『アムウェイの森』とか『海辺の株価』を書いて出そうかって。

夫:家具職人の物語『タンス・タンス・タンス』あるで。

嫁:恥を知りなさいよ。

夫:そんなことよりやな、オイ。なんとかならんかアイツ。

嫁:アイツって?

夫:千尋や千尋、世界イチかわいいオレの娘や。あのガキ!

嫁:ほめたいの? どっち?

夫:きのうやで、岸和田からオマエの実家の遠賀まで、車でビューン!て帰省したわい。その間オマエと千尋は寝っぱなし。

嫁:ご苦労さまでした。

夫:ほんで到着したらやで、千尋のガキ、さっそく義母(カア)ちゃんに飛びついて。

嫁:あー......。

夫:なにを言うんかいな思たら「あのネ、あのネ、お父さんがネ、こないだネ、お母さんとちーちゃんに『出て行け!!』って大声で言ったの。そしてネ、本当に出て行ったらネ、あわてて追いかけてきてネ、お母さんを2回も叩いたの。2回もだよ!」とかチンコロ(言いつけ)しやがったんやど。一気にアウェイ状態やんけ。今日も針のムシロやんけ。

嫁:本当のことだもん仕方ないじゃん。

夫:なにがじゃんやねん。その後、オマエがオレを5回蹴り返したのんも頭突きしたのんも、あのガキ黙ったままやんけ。女のくせに頭突きとかするか?ふつう。

嫁:千尋はワタシの味方なの!

夫:なんでオレだけいつも退けもんやねん。

嫁:当たり前でしょ。娘の貯金箱からタバコ代をくすねる父親だもん、嫌われて当然。

夫:あれ? 知ってたん。言うとくけどオマエの財布からも抜いてるで。

嫁:わかってます! 千尋も知ってて、この間なんかワタシが肩を落としてたら「お母さん元気出して。ちーちゃんがお金あげるから」って自分の貯金箱のを分けてくれたわよ! あの子、やさしいよ。

夫:......うんうん、やさしいのォ......。

嫁:なに泣いてんのよ? 泣くぐらいなら、お金とるの、やめてよね。

夫:それとコレとは別やろ......。

 

2014年8月

帰省先の遠賀にて。

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