『尾道坂道書店事件簿』

著者:児玉憲宗

定価1,760円(税込)

2009年2月13日発売

本が好き、本を売るのはもっと好き

 
4年前のある日、それはたぶん本屋大賞の発表会の日だと思うのですが、発表会場に早く着いていた児玉さんに僕はひとつのお願いをしました。
「児玉さん、原稿書いてください。内容は地方の本屋さんの日常と児玉さんの仕事である本部の仕事です」。
 確かそんな話をしたとき児玉さんは書けるかな?と不安そうな顔をされました。
 数日後、改めて電話でお願いしたところ、連載スタートの快諾をいただきました。タイトルをつけ、第1回目の原稿があがり......そのとき気づいたのです、実は僕、尾道にも児玉さんの勤める啓文社にも一度も行ったことがないことに。それから毎回原稿が届くたびに僕にとってそんな幻の書店・啓文社はまさにオアシスのような素晴らしい書店になっていきました。本があって、お客さんがいて、でもそれだけじゃないんですね。啓文社にはたくさんの仲間がいるんですね。そしてその中を児玉さんが車いすに乗って駆けずり回っていると思うと、なんだかうれしくなってくるし、ものすごく勇気をもらえるんですね。こんなに元気になれる本はありません。

 そして昨夏、国際ブックフェアで上京されていた児玉さんに単行本化の具体的な話をしました。そこから児玉さんは夏休みも冬休みも原稿と向かい合い、ついにこうやって単行本ができあがることになりました。僕が作る書店本は『書店風雲録』田口久美子著以来ですが、『書店風雲録』に負けず劣らず、書店という枠を超えた素晴らしい本になったと自負しております。ぜひみなさんも誇りをもった書店の話と、児玉さんに生き様に触れてください。そしていつか尾道に行きましょう!(杉江)

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