村上春樹氏、翻訳家としてトークイベント

文=新文化編集部

普段、人前に出ることが極めて少ない村上春樹氏が4月27日午後7時から、東京・新宿区の紀伊國屋サザンシアターで2時間以上にわたってトークイベントを行った。紀伊國屋書店と中央公論新社が共催。来場者は録音、撮影は禁止。スマホ、パソコン、携帯の電源をオフにする〝厳戒態勢〟が敷かれた。

高校生から英語の原作を読んでいたという同氏。翻訳は「お金のためでなく、趣味の領域」としながらも、作家として勉強になることが多く、執筆意欲も高まる。翻訳業が作家としての精神的バランスとリズムをとることにも繋がっていると話した。時に自身の文体が前に出た「作家的翻訳」と批判されることがあるが、「エゴを殺して原文を正確に訳している」と反論。「読者に2度読ませない、分かりやすい訳を一番大切に思っている」という。翻訳出版に至るまでの作業工程を詳しく紹介した。村上氏はトルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」など、自身が訳した4作品と新刊「騎士団長殺し」のお気に入りの一節を朗読した。

さらに、翻訳家・柴田元幸氏をゲストに招き、「原文」と「村上訳」「柴田訳」をスクリーンに映し出し、その違いやそれぞれの考え方を語り合った。

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