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池田 智恵の<<書評>>
走るジイサン
【集英社文庫】
池永陽
定価 420円(税込)
2003/1
ISBN-408747531X
評価:A
頭の上に猿が乗っている老人─。一見シュールな出足だが、淡々として、情のある人間描写がやるせなさを残す作品である。老人というのは少年や少女、青年たちが年を重ねた姿である。私くらいの子供は、そういうことを知ってはいるが、わかってはいない。そして、多くの物語で老人はまるで最初から老人として生まれてきたように描かれてしまう。しかし、この本は老人が青年期や少年期を経て老人になったことがよくわかる。老人達はそれぞれがこれまで懸命に生きてきて、今も生きてゆこうとしているいうことがわかる。だからこそ、年を取ることの切なさが際だってきて寂しい。
著者の本は初めて読んだが、読者を共感に引き込む手だてがうまい。佳作という言葉が似合う作品である。しかし、この猿は一体何を表しているのだろう。もし、私の卑近な推察が正しければ、この一見やさしい小説は人間のどうしようもなさを書いたとてもかなしい小説になるのだが・・ううむ。
幻獣ムベンベを追え
【集英社文庫】
高野秀行
定価 540円(税込)
2003/1
ISBN-4087475387
評価:B
いやあ、すごかった。わざわざ怪獣を探しにコンゴまで行ってしまうところがすごいし、その為に様々な人をポジティブに巻き込んでゆく様がすごいし、現地ではマラリアにかかったり、食べ物に本当に飢えたり、とんでもなくすごい。しかも、これは企業やテレビではなく、いち早稲田大学探検部なのである。すごい。同じ大学生(学校は違います)やっていたとは思えないすごさである。もう、最初から最後まですごかった。びっくりだ。
しかしホンモノの探検というのはままならないものなのだなあ。現地人との意志疎通の難しさや空腹などに苦しむ様子が生々しい。怪獣は見つけられなかったそうだけど、この探検の実行そのものに拍手を送りたい。
あとがき大全
【文春文庫】
夢枕獏
定価 790円(税込)
2003/1
ISBN-4167528088
評価:C
あとがきはぬるい。原稿料が出ないんだから、ぬるくならないはずがない。あとがきだけを集めたこの本も、当然ぬるい。だが、ぬるいのは別に悪いことではない。それはそれでぬるさゆえの面白さというのもある。問題はそこではない。
読む前から予期していたことだが、この本は夢枕獏ファン以外にはそんなに面白くない。つまらないとは言わないが、そこそこしか面白くない。おそらく夢枕ファンであれば、まえがきを記した北上次郎氏のように楽しく読めるのだろう。私も松尾スズキと内田春菊のネット日記(日記とあとがきはまた違う媒体だが・・)は熱心に読めた口だから、「ファンならすごく楽しい」というのは何となく分かる。けれど、そういう本はやっぱりファン以外にはそれほど楽しくないのである。
沙中の回廊
(上・下)
【朝日文庫】
宮城谷昌光
定価 (各)700円(税込)
2003/2
(上)ISBN-4022643021
(下)ISBN-402264303X
評価:D
描写は平坦だし、登場人物には全く感情移入できないし、まるで抑揚がなくて絵の下手な紙芝居。こんな本誰が読むんじゃ! と思っていたところに、朝日新聞の広告を見た。そこには「ビジネスマン必読」との文字。そういえば、これは朝日の新聞連載だった。
そうか、わかったわかった。きっと、日本のビジネスマンのみなさんは、これをトイレの中や電車の中で読んで、「そうか、やっぱり人間には義が大事だな」とか「自らの使命をきちんと果たさねば」とか思うのだ。そうかそうか。これは中国歴史小説ではなくて、働く人々のための精神修養コラムだったのか。「チーズはどこへ消えた?」中国版なのか。まあそれはそれでいいのかもしれないが、小説としては本当に面白くなかった。個人的には三浦雅史「批評という鬱」以来の難読書。疲れたー。
『坊っちゃん』の時代
(1〜5)
【双葉文庫】
関川夏央・谷口ジロー
定価 600円〜650円(税込)
2002/11〜2003/2
(1)ISBN-4575712299
(2)ISBN-4575712302
(3)ISBN-4575712310
(4)ISBN-457571240X
(5)ISBN-4575712442
評価:A
明治を生きた人々、漱石、歐外、啄木、幸徳秋水らの物語である。時代の変化の中で迷い続ける彼等の姿が、生き生きと描かれている。と、いうのは簡単だが、さて生き生き描かれているってなんだ? それは登場人物の苦悩に共感することができ、かつ彼等の属す世界に憧れてしまうに描かれている、ということだと思ってみたい。この本の中の漱石や鴎外の苦悩を、私たちは理解することができる。ここに描かれているのは、後に近代人の苦悩と呼ばれるものだからだ。同時に、彼等の生きている風景の美しさや、必死で生きる人間のかなしさに憧れる。そして、物語に添えられたユーモアに笑う。本書を読むことによって、明治という時代はまるでタイムマシンから覗いた窓のように明るい色彩を帯びてくる。
谷口ジローは漫画的な記号表現を(目が星になる、驚いた瞬間に線が走る的なもの)使わないが、その分風景や光を丁寧に描いて、画に表情と陰影をつける。その、光と風景が美しい。傑作。
モンスター・ドライヴイン
【創元SF文庫】
ジョー・R・ランズデール
定価 630円(税込)
2003/2
ISBN-4488717012
評価:C
「スラップスティックSFホラー」という帯の文字から、スリリングで凶悪なモノを期待していたがそうではなかった。B級ホラー映画の世界に閉じこめられてしまった少年の話で、怪物になってしまう友人や人肉食の描写など、一見ハチャメチャではある。しかし、受ける印象はむしろ異空間に迷い込んでしまった少年の冒険小説だ。夜の駐車場の情景描写なんていかにもロマンチックで、異世界へ憧憬を感じさせる。
ただし、本作の主人公は児童文学の主人公よりシニカルで、そのせいか状況に対して受け身である。その為読者は物語を傍観者の視線に沿って見ることになる。視線の捉え方は基本的にクール。だから見える風景も淡々描写される。それが物足りない。異世界を淡々と魅力的に描写する力は感じ取れるがちょっと密度が低い印象が残った。あえて例えるならマルクス兄弟を観に行ったつもりが、チャップリンだった、という感じ?
拳銃猿
【ハヤカワ文庫HM】
ヴィクター・ギシュラー
定価 861円(税込)
2003/2
ISBN-4151739513
評価:C
映画的な造りのハードボイルド小説である。ガンマンの主人公。行方不明となったボスを追うという展開登場。台割のような格闘シーン。人物も展開も情景描写も台詞も、全てが映画を喚起させる。しかし、それがむしろマイナスになっている。だって、「映画にしたほうが面白そう」というふうにしか読めないんだもの。
つねづね思っていることだが、一つの媒体における傑作というのは、その媒体でしか表現し得ないもの、他の表現方法を選んでいる人が悔しがるようなものであると思う。そういう理由で、こういう映画に負けてしまいそうな小説はいまいち評価できないのである。花村萬月を読んだことがあるので、暴力描写の軽さにも不満が残る。あっさりと人を殺す主人公のクールさには、肉体的なリアリズムがないのだ。その辺がいかにもハリウッド映画を思い起こさせるところも好きじゃないんだよなあ。
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