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WEB本の雑誌今月の新刊採点【文庫本班】2007年2月の課題図書 文庫本班

死への祈り
死への祈り
ローレンス・ブロック (著)
【二見ミステリ文庫】
税込980円
2006年12月
ISBN-9784576061894

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  鈴木 直枝
 
評価:★★☆☆☆
 一世を風靡したドラマ「太陽にほえろ!」をラガー刑事登場の回から見始めたような気がする。痩身の渡辺徹演じるラガー刑事も、マカロニやジーパン、テキサスの無謀の歴史あってこそ。「死への祈り」も同様。マンハッタンで私立探偵をするスカダーの遍歴は本書で15作目。前妻の死や子どもたちの成長、音楽への傾倒など「知っていればもっと楽しめたはず」の随所に触れるたび、悔しい思いをした。
 だが、それなくしてもひと読みの価値はあり。即解決を見たかに思えた2件の殺人事件があった。探偵スカダーが、死者と同じコンサートホールに居合せた数時間前。それは偶然ではなく始まりの啓示。犯人は一体誰?何の目的で?なかなか結びつかない点と線。それだけに、舌を噛みそうな登場人物の振り分け(この人はいい人だっけ?こいつは悪人?)に戸惑ったり、マンハッタンのストリートの名称と距離感に手こずる場面はあった。いやそれにしても無茶な殺人が横行し過ぎだ。

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  藤田 佐緒里
 
評価:★★★★☆
本格ミステリー、めちゃめちゃ本当に久しぶりに読みました。最近読んだものと言えば、『金田一少年の事件簿』くらい。しかも漫画。というわけで純粋なミステリーはどちらかと言うと苦手分野です。でもとても面白かった。ミステリー、いいかも…。
 ローレンス・ブロックのマット・スカダーシリーズは、どうやらもう何十年も続いているようで、これはその最新刊。ある殺人事件が起きてひょんなことから疑問を抱いた私立探偵のマット・スカダーが事件にのめりこんでいくといったストーリー。残念ながらスカダーシリーズは一冊も読んだことがないのだけれど、シリーズには定評があり熱狂的なファンも多数。その理由は一冊読むだけでもよぉぉーくわかります。
 そして本を読むと何かしら意見を述べたくなる私、何も考えずにズンズン読みながらやっぱり、犯罪が現代化しているな…とかなんとか思ったけれど、おこがましかったです。本の中だけできちんと完結してくれるミステリーにはそんなものは不要!その潔さにうっかりハマってしまいそうです。

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  松岡 恒太郎
 
評価:★★★☆☆
 探偵マット・スカダーが活躍する人気シリーズの第十五弾らしい。しかし残念ながら彼のこれまで活躍を僕は知らない。
ストーリーはミステリーのお手本のように殺人事件で幕を上げる。ところが犯人の死亡によって早々に事件は決着をみることになる。そこへ現れたのは我らが名探偵マット・スカダー。一連の事件の陰に見え隠れする第三の男を推理し、少しずつ真犯人を追い詰めて行くのであった。
 米国ミステリー界の巨匠の作品らしく、文章もとても丁寧で、背景もプロットもしっかり描かれている。ただあえて言わせてもらうなら、後半にあとひとひねり欲しかった気はする。
とは言え、全体からハードボイルドが滲み出していてなかなか男心をくすぐってくれる本です、装丁もいいしね。

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  三浦 英崇
 
評価:★★☆☆☆
 普通だったらまず気にも留めない、ちょっとした違和感。そういうものに敏感になってしまう性質というのは、例えば「私立探偵」なんて商売には向いているのかもしれないけど、日常生活を安穏と生き長らえるには、いささか厄介なものなのかもしれないなあ、と……なるほど。それでかつてはアルコールに溺れざるを得なかったんですね、このシリーズの主人公である探偵・マット=スカダーは。

 この作品では、一見単純そうな強盗殺人事件が、犯人グループの自殺によって決着したにもかかわらず、探偵の鋭敏な神経を刺す、ちょっとした違和感からスタートした調査によって、驚愕の真相に……結びついてはいますけど、さて。

 結末にたどり着いても、すっきりしない感じなのは、スカダー自身の、過剰にはりつめちゃった気分に影響されてしまったからなのでしょうか? だとしたら、やはり作家の力量に感服せざるを得ないのですが……それはそれとして。ああもうっ。

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