カリスマ販売員は時給1250円のパートタイマー～『またあなたから買いたい! カリスマ新幹線アテンダントの一瞬で心をつかむ技術』

　モノが売れない今、販売業で直にお客と接する人たちにとっては受難の時代。こういう状況下では、固定観念を捨て、視点を変えてアプローチしてみることも必要です。

　例えば、接客の基本と言える対面販売。お客の顔を見て商品を勧めるのは当然と思われがちですが、新幹線の車内販売では、背後からアプローチをしたほうが断然有利なのだそうです。その理由は、背面の場合、顔に視点を合わせる必要がなく、さまざまな場所に目を配ることができるため、お客にとって足りないものを見つけることができるから。

　弁当を広げている人がいれば、飲み物や食後のデザートを勧める。網棚を見て旅行帰りであることがわかれば、名物の駅弁ではなく、あえてあっさりした幕の内弁当を勧める。何か買おうか迷っている人がいれば、プレッシャーを与えないように通り過ぎてから、時間を置いて振り返る。

　山形新幹線を中心に車内販売に従事する齋藤泉さんは、抜群の観察力ときめ細やかなサービスを武器に、1回7万円が平均と言われるなか、最高26万5000円の売り上げを記録。さらには片道3時間半、満席でも乗客400人の列車で、187個の弁当を販売したというカリスマ新幹線アテンダント。

　今や講演会でも引っ張りだこな彼女が書いた『またあなたから買いたい！』では、こうしたお客の潜在的ニーズを把握する極意をはじめ、月500個しか売れなかった弁当を7000個販売のヒット商品に生まれ変わらせた商品開発、前年比140％の売り上げを達成した人材教育など、販売業を営む人にとって目から鱗が落ちる話が満載です。

　しかしながら何よりも驚きなのは、彼女が2カ月ごとに契約を更新する時給1250円のパートタイマーであるということ。彼女をヘッドハンティングしない手はない？