カフェの経営は儲からない?~『「とりあえず、生!」が儲かる理由』

「とりあえず、生!」が儲かる理由 飲食店の「不思議な算数」2 (セオリーBOOKS)
『「とりあえず、生!」が儲かる理由 飲食店の「不思議な算数」2 (セオリーBOOKS)』
江間 正和
講談社
1,575円(税込)
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 不景気な時代になっても、あいかわらずカフェの開業希望者は多いもの。会社で仕事が辛くなったとき、のんびりカフェの経営なんて気楽でいいなーと、思う人が多いようです。また、副業でカフェの経営を考えている人など、あなたの周りにもいたりしませんか? しかし、カフェの経営は飲食業のなかで一番儲かりにくい業種だといわれています。

 たとえば、1杯350のコーヒーの店で、1つの席が10回転して「1席あたりの売り上げが3,500円」と、客単価3,500円の居酒屋で、1つの席が1回転して「1席あたりの売り上げが3,500円」、どちらが儲かるでしょう。同じ売り上げなら、材料費を考えると残る利益はカフェに軍配が上がりますが、そうはいっても、人件費と材料費をあわせたコストが、居酒屋の半分で済むというわけではありません。1席3,500円稼ぐために10回転分の人件費が必要なため、人件費はそれなりにかかります。

 カフェは、客単価が低いために「回転率」あっての業種となります。「売り上げ=客単価×人数×(席数)×回転率」の式のなかで人数(席数)は、店の大きさで決まってしまいますし、その広さに比例して固定費や変動費がかかってしまうから、この部分はどうしようもありません。では、残りのいじれる部分としての「客単価」はどうでしょう。

 平均的な感覚の人が、コーヒー1杯に500円以上だしますか? 150〜350円のコーヒーといえども、何杯もおかわりしますか? サイドメニューをふくめて、カフェで1,000円や2,000円を使いますか? いかなる場合にも発生する「例外」は除くとして。
 
 やはり客単価には限界があり、「回転率」を考えざるをえません。そうなると「立地」がカフェの命運を握ることに。のんびりカフェをやりたいなーと思ったら、自宅の1階を改装して家賃がかからない状態をつくるしかありません。

 お気軽そうなカフェ経営。実は水面下でもがいているオーナーさんが結構多いとのこと。「のんびり」したくてカフェをはじめれば、スタート後に理想と現実の違いを思い知ることになってしまいます。お店でのんびりできるのは「お客さんだけ」ということにならないようにしたいものです。

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