第78回

 これまでの書き方だとオレが異動を望んでいるように感じられるかも知れないが、実は全くそんなことはない。ひとつの編集部でじっくりと腰を据えて仕事ができる方が良いに決まっている。まして「投稿写真」は社内で部数ナンバー1の雑誌、いられるのもなら居続けたいのだが、会社の方針が新人の内は一年に一回は異動というものだったので、なんとなく取り残されているような気分だったのだ。あれよあれよであまり興味のなかった芸能担当となり、慣れないながらもそれなりの体制を築くことはできたものの、会社の本質であるエロ系のジャンルに関しては、サラの新人に毛が生えた程度で、エロ本が作れて一人前という風潮の中、なんだか自分が異分子であるような焦りがあったのだ。それに加えて、リーチ目が出ているのになかなか7が揃わないようなイライラ感もあった。 

 7月号の表紙は、制服を着た女のコのバストアップという基本を覆して、パンプキン(2人組)とレモンエンジェル(3人組)の5人が登場している。まるで「平凡」か「明星」のようだ(笑)。後にも先にも複数のコが表紙に載るのはこの号だけだ。実は、両方の事務所から、

「ぜひ、表紙を」

と頼まれていて、そのたびに

「ウチは基本的にピンだけですから」

と断っていたのだ。しかし、どちらの事務所も非常にお世話になっていたので、そうそうムゲにはできなくなってきてしまった。しかし、どちらかを先にやってしまうと、「ピンだげじゃなかったんですか!!」と突っ込まれかねない。それなら、どうせ基本を破るんだし、一度にやっちまえ!! とばかりに実現したものだった。表紙のアイドルのキャスティングは、必ずしも楽とはいい難かったので、別々に表紙に出てもらった方がよかったのだが、やはり、基本は基本、例外をあまり作るものではない。そのための苦肉の策だった。

 撮影は、まず、朝集合でレモンエンジェルのグラビアを相模湖で撮り、夕方戻って早めの夕食に行ってもらい、夜7時から始まるパンプキンのスタジオ撮影に合流してもらう形で行った。所属事務所が違うので、また、志賀真理子と水谷麻里の時のようなことにならないようにしたのだ(後から、「明星」の表紙は別撮りで合成していると聞いて、その手があったかと悔んだのだが)。

 パンプキンもレモンエンジェルにも何度も顔を会わせていたのだが、当然ながら両方一緒にまみえるのは初。それまでは気付かなかったのだが、いざ表紙の撮影に入って、顔の大きさが、レモンエンジェル達の方が若干大きいことがわかった(もちろん、口には出さなかったが)。

(この辺が、老舗プロダクションと新興プロダクションのタレント選択基準の違いなのかもな)

 変な感心をしながら、パンプキンを前、レモンエンジェルを後ろにと指示を出し、最初にして最後の表紙の撮影を無事終えることができた。