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9月20日(金)

 手帳を開いたらぽっかりと空白になっていたので夏休みを一日取ることにした。夏休みだから本屋さんにいく。

 もちろん仕事が出版営業なので毎日本屋さんに行っている。営業として訪問するのは日々5軒から10軒ほど。雨が降ろうが雪が舞おうが台風で電車が止まらない限りは四半世紀以上、毎日本屋さんに行っている。そして仕事が終われば駅へ向かう道すがらやっぱり本屋さんを覗いている。

 でもそれは本屋さんに行っているけれど、実は行っていないのだ。本を見ているようでしっかりは見ていない。棚を眺めているようで、きちんと眺めていない。いつも仕事が気になって、あるいは閉店時間や帰宅時刻を心配し、焦りを抱えて棚や平台を見ているのだ。だからあの本もこの本も出会いそびれている。

 いやそんなことではない。本当の意味で本屋さんに行く喜びは、空を眺めるのに似ている。あるいは海を眺めるのに似ている。そういえば最近、空も、海も、眺めていない。

 1時間ほど店内をうろうろして本を6冊買った。9,558円。
 月に一度、1時間本屋さんで過ごし、1万円本が買えたらどんなに幸せだろうか。

9月18日(水)

 午前中、企画会議。声がでないので黙って過ごす。

 丸善丸の内本店さんと丸善日本橋店さんの帳合変更のお知らせが届く。

 昼、Y書店のKさんが遊びにいらしたので、「SANKOUEN」でランチ。

 午後、矢部潤子さんの本『書店員の教科書(仮)』の原稿を整理する。

9月17日(火)

 今月の新刊、堀井憲一郎さんの『文庫本は何冊積んだら倒れるか』の見本ができたので、取次店さんを廻る。かつては9月下旬搬入といえばエレベーターホールまで見本出しの列が並んだりしたものだが、本日はガラガラ。新刊の事前申請が進んで平準化されたのか、それとも新刊点数自体が減っているのか。

 午後、営業に勤しんでから埼玉スタジアムへ駆けつける。ACL準々決勝第2戦上海上港戦。スタジアムに着くまではリーグでの残留争いから今後のスケジュールを鑑み、勝ったほうがいいのか負けたほうがいいのかなんてウジウジ考えていたものの、時間とともに満席になったゴール裏にたどり着くと常に目の前の試合に勝つために戦うのが「This is URAWA」と確信する。

 そしてその「This is URAWA」のチャントから「We are Reds」の叫びとともに試合は始まり、全身全霊をかけて声を張り上げ、飛び跳ねるうちに自分がレッズサポで本当によかったという幸福感に包まれる。

 もちろん試合には勝ったり負けたりする。どちらかというと負けているほうが多いと思う。負けたら悔しくて眠れない。自分はほとんどの週末をかけて何をしているんだろうと二日くらい後悔する。それでもやはり次の試合が来て、このスタジアムの中でたったひとつの願いのためにすべてをかけて戦うことは何ごとにも代えがたい。生きている気がする。生まれてよかたっと思う。流れる汗を拭いながら叫び続ける。浦和レッズの選手が一歩でも足が前に出るために。対戦相手を一瞬でも焦らすために。

 1対1の引き分けながらアウェイゴールのおかげで準決勝進出が決まる。息子と娘と母親と観戦仲間と抱き合う。We are Reds。

9月16日(月・祝)

 雨の中、本の雑誌スッキリ隊出動。なんと今回の出動要請は実家から自転車で5分というところにある某団地の1階。お亡くなりになられた父親の部屋を整理するらしい。

 実家に車を止め、自転車で向かう。本棚2本、歴史書多め。スッキリイエローとグリーンがどんどん紐でくくっていくのを私(レッド)と浜本(ブルー)で運び出す。1時間半でスッキリ。

 その後、実家へ。父親の車を売って以来、3週間に1度は車を出して両親の買い物に付き合っている。向かうはクレヨンしんちゃんのサトーココノカドーで有名な春日部のイトーヨーカドー。場所が少し動いたとはいえ、この地で生まれ育った私としては子ども時代の一番のハレの場所である。

 あの頃、我が家には車なんてなく、おそらく父親の給料日のあとだったのだと思うのだけれど、父親と兄貴とそして私は母親の後ろに乗せられ、3台の自転車を連ねヨーカドーに連れていってもらっていた。

 そして兄貴とミニカーをねだり、フードコートとも呼べない小さな売店でソフトクリームを舐めた。今から考えればただそれだけのことなのに、当時の私にとっては人生でいちばん輝く黄金の時間だった。いや、私だけでなく、家族みんなにとって黄金の時間だっただろう。

 今、そのヨーカードに行くことを両親はとても楽しみにしている。前日から父親も母親もそれぞれ小さなメモ紙に買うべきもの書き出している。そしてお店ではそれに書いてないものもたくさんカゴに入れ、「年末みたいだね」と笑っている。

 これもあとから振り返れば黄金の時間なのかもしれない。

9月15日(日)

 早起きして、アルバイトのテープお越しを完成させる。

 喜んでいたところに妻が起き出し、「そういえば塾から請求書が来ていた」とまたもやペソかなにかと単位を間違っているのではなかろうかという請求額にめまいがする。塾というのはいったいどこの国にあるのだろうか。我が家において、娘が大学に通い、息子が高校受験から高校に入学するこの4年間が、教育費底なし沼の時期である。果たして生きて乗り越えられるのだろうか。

 気分転換にランニング。全然転換できず、気づけば20キロ走っていた。

 午後、新刊を2冊読む。満足度高し。

 夜、娘をアルバイト先に迎えにいく。

9月14日(土)

 浦和レッズのことを考えるのが苦しくなってきた。考えなければいいんだけれど延々と考えてしまう。どんなに叫んでもどんなに飛び跳ねてもどんなに祈ってもまったく思い通りにはいかない。人生と一緒だ。

 何かを愛するということは、もうひとつの人生を背負い込むようなもの。人生なんてひとつで十分なはずなのに。

 終日、アルバイトのテープお越し。

 深夜、マンチェスター・シティもノリッジにまさかの敗戦。最悪の3連休。しかしキャロウ・ロードの雰囲気は素晴らしかった。

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