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3月23日(土)三宅玲子『本屋のない人生なんて』に打ちのめされる

三宅玲子『本屋のない人生なんて』(光文社)を読了。

西荻窪の今野書店さんや福岡のブックスキューブリックさんなど独立書店を訪ね歩き、「アマゾンでは満たせない「何か」が本屋という場所にはある。では、その「何か」とは」?を探し求めたこの本は、本を読むこと、本の力、そしてそれを手に取る本屋さんの存在価値というものを改めて深く考えさせられるとってもいい本だった。

そしてそんな本屋を営む書店主の言葉は、東京で情報に埋もれ、頭と口先ばっかり使ってる私には、もう涙が出て立ち上がれなくなるくらい厚みや重さがあった。

30年も同じ世界にいて、同様に本が好きで、本の力を信じていたはずだったのに、自分はいったい何をしていたんだろうと苦しくなる。

結局、覚悟が違うのだった。

私はどこまでいっても会社に雇われて本を作り売るサラリーマンでしかない。そこに揺るがぬ信念などなければ切実さもなく、そんな人間が感じる「本の力」と、人生のすべてを賭けて自身のお金で本を仕入れ売る人の語る「本の力」は、明らかに違う。

独立しなければそこに立つことはできない。肩を並べることができない。私もそちらに立って、本気で本と向き合いたいと思った。本の、本当の力を、知りたいと思った。

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週末介護10週目。

母の友達がトマトを抱えてやってくる。先週、私が偏食で野菜はトマトしか食べれないと言ったばかりに、農家の軒先で買い求めてきてくれたのだった。

52歳になって、真顔で野菜を食べなさいと叱られる。その親切さに導かれ、少しは食べてみようかと思う。

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