6月22日(土)偉いけど当たり前
週末介護生活23週目。母親を介護施設に迎えに行き、実家に向かうと、すぐに母親の友達がやってくる。しばらくするともうひとりやってきて、老婆3人で笑い声をあげて話している。口々に「ある日突然バタっと死にたいよね」と言っているが、それは私としてもぜひともそうしていただきたい。
みなが帰った後、母親の車椅子を押して父親の墓参り行く。お寺の入り口で、お寺の娘である、れいちゃんが、「久しぶり!」と声をかけてきた。
れいちゃんは私が子どもの頃、寺の前にあった乾物屋でセーラー服を着て店番をしていた。耳が悪いのか声が大きく、この土地に古くからいる人がそうであるように、語尾が上がる北関東の訛りで話す。
「よくお詣りにきてるなあ。旦那をそんなに愛してたんか? お寺の道には力があるからよ。そこでリハビリしてりゃすぐに歩けるようになるよ」
と車椅子に座る母親の肩を叩いて笑った。
そしてお墓に向かう私たちに向かって、改めて大きな声をかけてきた。
「にいちゃん、いっつもそうやって偉いな。でもよ、当たり前のことだからな」
「えっ?」
「偉いよな。でも、当たり前のことだかんな。最近は何もしないやつもいるけどさ。当たり前のことなんだよ。偉いよ、にいちゃんさ」
いったいどっちなんだよ?と笑ったら、なぜか涙がこぼれ落ちた。