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9月12日(木)駿河台下交差点

昨日に続き、激暑。9月半ばだというのに35度を超えているのではなかろうか。

そんな中、市ヶ谷の地方小出版流通センターさんへ。担当のKさんも「暑いからわざわざ来なくてもいいよ」と言ってくださるのだが、新刊ができてこうして客観的に見てもらい、話を伺うのは、何事にも変え難いのだった。

昼過ぎ、会社に戻り、一旦クーラーにあたったあと、今月20日(金)、21日(土)にお茶の水の丸善さんで開催される「お茶丸広場ブックマーケット」用の本を台車に積んでもっていく。

明治大学の前の坂は結構な急勾配で、折コン二箱分の本の重さに、まるで石炭を積んだトロッコを押す気持ちで力をこめる。段ボールに詰めて送ってしまえば簡単なことなのだけれど、そんなことをしていてはいくら本を売っても儲けがなくなってしまうのだ。

それにしても私も世間では役職定年もみえてくる年代であり、同級生たちのほとんどはクーラーの下でのんびり働いているのだ。こんな姿を知り合いに見られたら......と考えていたところ、早速駿河台下の横断歩道を台車を押して渡っていたところ、すれ違いざまに、「よっ!!! 久しぶり」と、元栗田出版販売で長年一緒に浦和レッズを応援したYさんに声をかけられる。

『本の雑誌風雲録』のあとがきで、たしか目黒さんは「本の雑誌」の直納に出向いた際に、かつて一緒に「本の雑誌」をやっていた仲間に、「まだそんなことやっているんだ?」と声をかけられた話があったと思う。あれは創刊して10年の頃で、目黒さんは30代後半というところか。私はすでにその年をはるかに越え、53歳なのだった。

Yさんは「何? 直納?」と言って、私が「そうっす!」と返事をすると、目を細めて横断歩道を渡っていった。

その目には、「お前、相変わらず出会った頃と変わらずにがんばってるな」という思いが、込められているように思えた。

夕方、そのYさんから、LINEが届く。

「駿河台下の交差点を大型台車で闊歩するのは道交法違反なので検挙!!!」

Yさんは63歳なのだった。I

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