9月25日(水)思いつくために
5時半起床、6キロラン。
なぜ私がランニングを続けているかというと、サッカーのため、というのがあるのだけれど、それと同時に思いつくからなのだった。何を思いつくかというと「本の雑誌」の特集とか、書籍の企画などだ。それを考えようとして走っているわけでないのだけれど、走っているうちにいろんなことが頭の中に浮かんでは消え、ときにその浮かんだものが破裂するかのようにして、思いつくのだった。
物事を考えるとき、それを集中して考える人もいるのかもしれないが、私は常に考えるというか、考えなきゃいけない箱に入れておき、100%ではなく、10%から60%くらいの間で、転がしているような状態にしておく。そうしてひょっこりした瞬間に、答えが見つかるのだった。
今日も走っていると突然、この2ヶ月悩んでいた高野秀行さんの新作のタイトルが思いついたのだった。スマホを持って走っているので、すぐさまそれを高野さんにメールする。もちろんこの思いついたタイトルが正解だとは思っていないのだった。
これまで高野さんとああでもないこうでもないと議論していた中に、新たな光を当てることによって、別のものが浮かび上がるのではないかと思ってのことだ。
会社に着いて、デスクワークしていると、高野さんからメールが届く。そこには私の送ったタイトルに対しての感想と、高野さんが思いついた新たなタイトルが記されていた。
その高野さんのタイトル案は、高野さんの覚悟というか方向性がはっきり伝わってくるものだった。
ならばさらに一歩進めて、こういうタイトルと、今度はそこで閃いた帯コピーを添えてメールをした。
しばらくすると、高野さんから電話が入り、「タイトルも帯もこれで行きましょう。決まりだね!」と言われたのだった。飛び上がるほどの喜び。
本を一冊作るのは、本当に大変だ。
例えば400字×300枚=12万字の本文がフィニッシュしたとしても、それに約10字程度のタイトルが決まらなけれな先に進めない。さらにタイトルが決まったとしても、今度は100字程度の帯コピーが思いつかなければ止まってしまう。さらに、さらに...と無数の「思いつく」ことが必要で、それは一切手を抜くことなく、限りなく正解に近い言葉や文章を引き出さなければならない。どこから? 頭から。
だから、私は、毎日走っているのだ。