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10月24日(木)カバー


新人ベテラン編集者の近藤から単行本のカバーの相談を受ける。ただし私にも答えはない。

ひところ、Amazonの画面上でしっかりタイトルが認識できるのがいいとか、Instagramで映えるのがいいとか言われていた。

目立つもの、購買欲を煽るもの、思わず手が伸びてしまうもの、というのが帯も含めてカバー(表一)の目指すべき方向なのかもしれないが、私自身はここ数年、そういうものよりも、家に持って帰りたくなるような、家の中にあって「これ好き」と思えるようなカバーにしたいと思いながら装丁家さんから届くラフを眺めている。

そして自分が本を買う際にも、その判断基準でレジに向かうか本を棚に戻すかしていることに気づいた。だからラフを見ながら考えるのは、「これ売れるかな?」ではなく、「これ買うかな?」なのだった。ある意味それは「売り物」というよりも、「物」として優れているほうを選んでいるのかもしれない。

この5年くらいで驚くほど増えてきた独立系書店さんの注文を見ていると、「物」として優れたの本への注文が圧倒的に多い。それはカバーだけでなく、もちろん本の内容も含めて評価されてなんだけれど、「⚫︎万部突破」や「第一位」なんて煽り文句よりも、小さな声で本の内容をしっかり記したもののほうが好感を持たれている気がする。

マスを目指すのか、好きを目指すのか、いや本当はその両方を目指すべきなのかもしれないし、結局、売れた本のカバーがいいという結果論だったりするので、煮え切らないアドバイスしかできずに終わってしまう。

午後、早川書房さんへ取材。その後、中井の伊野尾書店さんに直納。

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