5月11日(日)お相撲
介護の間、相撲が始まるとほっとする。私も母親も好きというほどでもないのだけれど、相撲も見ていると間が持つのだ。
力士がゆっくり土俵にあがり、立ち合いを合わせ、塩をまき、どーんとぶち当たる。どっちが勝ってもなんだかうれしくて、ピクニックのような観客席をつい注目してしまう。相撲がなかったらこの一年の間に私は狂っていただろう。
相撲は一度、国技館に観に行った。父親が一生に一度生で観てみたいというので、枡席を取って、父親と母親と三人で両国に行ったのだった。
チケットの取り方を坪内祐三さんに乞うたら、チケットの取り方だけでなく、国技館で何時にどこにいるとお相撲さんに会えるとか、ここの弁当が美味いとか、相撲の楽しみ方を克明に記したFAXをいただいたのだった。
坪内さんの案内に従い、われわれ三人は相撲観戦を堪能し、帰りには錦糸町でつばめグリルのハンバーグを食べて帰った。
毎回お相撲が始まると母親はその日のことを思い出し、「お父さん、あの日喜んでいたよね」と話す。