5月26日(月)直納の自己満足
昨日、売れているので在庫状況を見て明日電話するとメッセージのあった書店さんから、朝イチで『断捨離血風録』と『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』を20冊ずつ注文をいただく。こうなることを見通して大きなリュックで出社したのだった。
そんなところへ別の書店さんから今度は10冊ずつの注文が入り、都合60冊=20キログラムの本を直納することとなる。
ところがその準備をしているとさらに別の書店さんから30冊の注文が入り、こちらはルートが異なるため、昼食を抜いてお届けすることにする。
直納というのはあくまで私の自己満足であるのだけれど、この日持って行った2軒の本屋さんでは、まさに平積みの本が残り1冊という売り切れ間近の状態で、仕入れの方やお店の方から大変有り難がられる。
さらに「せっかくもってきてくださったのでいい場所に展開しますよ!」とお店の入り口付近の棚にそのスペースを作って待ってくださったりと直納冥利につきるのだった。
直納といえば、目黒さんは『本の雑誌風雲録』のあとがきで、「実は今年になって腰痛に悩まされるようになってしまった。自分は若いつもりでいたが、体はガタがき始めているのかもしれない。考えてもいなかった。ずっと配本部隊の先頭に立っていくつもりでいたが、いくらそう考えても体がいうことをきかなくなることもあったのだ」と書いている。
『本の雑誌風雲録』は1985年の刊行だから、目黒さんはこのとき39歳だ。
「やがては若い社員たちにまかせるようになってしまうのだろうか」と寂しいことを書いているのだけれど、おそらくこの数年後に目黒さんは直納部隊を引退し、編集に専念したのではなかろうか。
私は現在53歳。腰痛も肩こりもなく、時折痛風の発作に襲われるけれど、ふくらはぎはパンパンだ。だから日々注文があれば直納に向かう。重い荷物を背負って、電車を乗り継ぎ、本屋さんに向かう。
いつもそのとき、心の中で叫んでいる。
「目黒さん! 今日も俺、まだ本を運んでますよ!」