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5月31日(土)金子玲介『流星と吐き気』

  • 流星と吐き気
  • 『流星と吐き気』
    金子 玲介
    講談社
    1,980円(税込)
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雨降る中、3週間ぶりに母親を介護施設に迎えにいく。特に不平不満を吐き出すこともなく、自分がどれだけ預けられていたのか気づいていない様子で、うれしそうに車に乗る。

終日、母親を見守りながら読書する。

いつだか版元の飲み会で、年に数回無性に寂しくなる時があって、そういう時はプリンセスプリンセスの『M』と森高千里の『渡良瀬橋』聞くんですよと言ったら、目の前でビールを飲んでいた女性ふたりが吹き出す勢いで、「あれ、ファンタジーです。絶対昔の彼氏なんて覚えてないから」と爆笑されたのだったが、金子玲介『流星と吐き気』(講談社)は、まさしく別れた相手がいつまでも自分を想っているというキモい勘違いを打ち砕く、最恐の恋愛小説で面白すぎた。

金子玲介、やっぱり天才なのだ。『死んだ山田と教室』『死んだ石井の大群』『死んだ木村を上演』の〈死んだ〉シリーズだけでなく、デビューから4作すべて傑作というのは凄過ぎる。しかもほぼ一年でこれらの本が刊行されており、すべて物語のスタイルが違うのだ。今回は初の連作短編となっている(その連作短編の中でも書き方を変えている!)。

新作がでたら必ず読む作家、そして期待を裏切らないどころが超えてくる作家。それが金子玲介だ。

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