10月5日(日)遠田潤子『天上の火焔』
週末実家介護三日目。さすがに三日いると飽きるというか母親の何気ない一言にイラついてしまう。
満を持して遠田潤子『天上の火焔』(集英社)を読み出す。
遠田潤子の小説であるからさまざまな人間の業の中で、人生がジェットコースターのようにうねっていくのだけれど、「親と子という関係は逃げられない天命のようなものです。たとえ、それがどのような関係であってもです。/自分の意思では選べず、避けることもできない。ならば、天命とはある意味、天災のようなものだ。」という文章があり、わが胸を撃ち抜かれる。
小説は備前焼の窯元に生まれ育った主人公が、人間国宝でありながらも好好爺の祖父とそれとまったく対照的に冷酷無比で息子に愛情を注がない父親の間でもがき苦しみ、ふにゃふにゃの人間からひとりの人間に成長していく様を描く家族小説であるのだけれど、その一端は恋愛小説にもなっており、また青春小説でもある。
さらにそういったジャンルを超えた「遠田潤子の小説」ということになるのだけれど、遠田潤子はやはり強烈だ。読み終えた頃にはすっかり小説に呑み込まれてしまい、母親へのイラつきなどすっかり雲散霧消してしまった。