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10月23日(木)中村計『さよなら、天才』

  • さよなら、天才 大谷翔平世代の今
  • 『さよなら、天才 大谷翔平世代の今』
    中村 計
    文藝春秋
    1,980円(税込)
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才能ってなんだろうなあと思うことは多々ある。仕事をしているときも思うし、サッカーをやっていたり見ているときはもっと考える。

元々備えられているものなのか、努力して手に入れるものなのか。あるいはその努力を続けられるのが才能ともよくいわれる。

中村計『さよなら、天才』(文藝春秋)は、いまや世界一の才能の持ち主といってもいい大谷翔平と同期の野球選手、かつてこの世代は「大谷世代」ではなく「藤浪世代」と呼ばれており、その藤浪晋太郎を筆頭に小中高時代に大谷よりすごいと言われていた人たちに話を聞き歩き、「才能」というものの姿を追い求めるルポルタージュだ。

彼らはなぜ大谷になれなかったのか、なぜ大谷に追い抜かれたのか──。

そこには身体的理由もあれば、精神的理由もあり、また指導者との確執もある。なかには大谷どころかずっとベンチに座っていたにも関わらず、カメのように努力を積み重ねプロ野球までたどり着いた人もいた。

ただし、大谷翔平を成功として、その他を失敗とするような本ではない。あるいは世界にひとつだけの花を咲かせましょうのような癒しの本でもない。

やはり残酷なのだ、人生は。しかし、その残酷な人生を歩いていくしかないのだ。

自分のこと、自分の周りにいた才能のあった人たちのことを思い出しながら読んだ。

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