そこにあった生活。
「棺桶に火をつけるとな、煙が美しいんだよな。夏には緑の山に吸い込まれるようにしてな、また冬にはな、雪ん中に解けていくようにな、川の流れと一緒に下っていくんだよ。死んだもんの魂がな、ふるさとの土ん中に帰っていくんだよな。」
[没後20年]ダムに沈む村をピッカリコニカで撮り続けた"カメラばあちゃん"が遺した言葉と写真。
徳山村の暮らしとダムに沈む村の様子を綴った『ふるさとの転居通知』と約90枚の写真をカラーで収録。
▪️A5判変型並製(190mm×148mm)▪️276ページ
ISBN978-4-86011-626-2
[目次]
I ふるさとの転居通知
まえがき 10
1 時代の波にけっころがされて 12
ツバメよ、また会うまでマメでな 12
ふるさとを水底に沈めちゃ、かなわんて 16
皮肉なもんだ、ダムでわかった村のこと 19
心の支えに音を録るで 21
カメラを持つとむちゃくちゃになるで 24
リーゼントのあんちゃんが泣いた 28
2 ますます好きになってまった、こん村が 31
山は、毎日毎日が美しいな 31
人が住みして村じゃでな 37
3 いまでも、お父ちゃん待っとるで 52
知らんうちに嫁にくれられてまった 52
結婚したくないから逃げてまった 55
イラは子供のまんまやな 58
カンカチカンの梅干しひとつ 63
お父ちゃんが帰ってこない 66
死んだつもりで生きとるよ 68
おじいちゃんは短気で働きもん 70
いつもかも、天が見てござる 73
早いもんだな、一人になって二〇年 77
4 ここはみんなの在所やで 81
ホッとするってな、なんでかな 81
イラはぶっきらぼうだで 86
ふるさとにまさるふるさとはなし 89
マスコミの人たちも、ここじゃ運命共同体 92
まず、心が飛び込んでくるな 94
詐欺師に、ありがとう 96
5 人の心が変わってまった 101
金目当ての人間が村へやってきた 101
ダムで村が転がってまった 106
「お国のために」ってなんじゃ 110
燃える家は、村のお葬式だで 113
ダムは出て行く先までつきまとう 118
6 ふるさとは、おそがかったり、楽しかったり 124
子供のころからロマンチック 124
雪の馬坂峠トントントン 126
夜ばいは村の〝リクレーション〟な 130
あんらのラブレターは唄やった 134
なにが、なにが、本気なものか 137
ハアハア、電話呼び出し一八年 139
ああ、おそがい、おそがいなぁ 143
イラは醍醐味を知ってまった 147
人ごとでないで、映画『ふるさと』 151
7 みなしまいの徳山村 156
山は自然のダム、根性あるで 156
〝松の木の下〟に行かせてくりょー 161
この一年で、村はすっかりさびしくなったな 165
仏様のお出ましじゃ 169
8 イラは、いつもかも青春 172
イラは、いま満開 172
からっぽの宝石箱 175
しめくくりは「みんな仲よくな」 177
まんだまんだ、仕事はあるじゃで 179
──あとがきにかえて
〝友だちの木〟へ 182
II 増山たづ子没後二十年 野部博子 185
III ふるさとが消えていくこと 215
