『宇宙の戦士』ロバート・A・ハインライン

●今回の書評担当者●マルサン書店仲見世店 小川誠一

  • 宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)
  • 『宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)』
    ロバート・A ハインライン
    早川書房
    1,080円(税込)
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 初めて登場いたします。静岡県沼津市マルサン書店小川と申します。
 拙い文章しか思いつかない私ですが、杉江様よりご依頼いただきましたので、太陽系から飛び出すイキオイで自分の好きな本を紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

 さて、最近あまり本を読んでいなくて申し訳ないのですが、ジャンルとしては小さなころからSFが好きでした。
 H・G・ウェルズの『宇宙戦争』は、小学生の男子には強烈すぎた! 数日間でしたが夜寝る前、「今晩、火星人が攻めて来たらどーしよう......」と真剣に悩んでいましたよ(まぁ、すぐ寝ちゃうんですけどねw)。

 そんな男の子だったので、当然のことながら『機動戦士ガンダム』にハマってしまうわけです。授業が終わり掃除の時間、生徒全員で教室にワックス塗った事ありませんでしたか?(え? ウチの学校だけ?)モノすごい匂いのオレンジ色の液体。この強烈な匂いは結構好きでしたが。で、床に塗ったあと染み込ませるために再度雑巾で磨くのですが、そのとき必ず級友たちとやるのが、「黒い三連星ごっこ」。

 ガンダムに向かって3機の黒いドムが脚部に内蔵された熱核ホバーエンジンにより地表を高速で滑走し、攻撃をする! オレたちも足に雑巾をくくりつけて、ワックスが染み込んだ教室の床を疾走する! これが「ジェットストリームアタック」だ! というぐらいハマってました。

 まさにその時、その時代。角川書店がヲタク雑誌『月刊ニュータイプ』を発売します。もちろん購入するお金はないので立ち読みだ(スイマセン)。毎号『機動戦士ガンダム関連情報』はチェックしていたが、あるとき、誰かのコメントの欄に「機動戦士ガンダムの原作は、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』(早川書房)だ」と書いてあったのは見逃さなかった。

 すぐにその書店さんの棚を探し始める。まだ子供だったので、書店員さんに声をかけて、「すいませーん......探している本があるのですが......」なんて気の利いたことも言えません。そしてニュータイプの覚醒が始まる......。

 自分の能力が試される時が来た。お前の意識を解き放て! 考えるんじゃない。感じるんだ!

 で、見つけましたw 普段は絶対立ち入ったこともない、スミーの方の文庫棚に「ハヤカワ文庫」の棚がありそこにグサッと刺さっていたのを覚えてます。早速手に取ると、おおっ表紙がモロかっこいいではないですか。ガンキャノンそっくり。ずっーと後になってその挿絵は「スタジオぬえ」所属の加藤直之さんの作品だったことがわかります(ラピュータから出ていた『SF画家加藤直之 美女・メカ・パワードスーツ』はいまでも宝物)。

 ハードSFを知った第一歩でした。思想的に賛否両論ある『宇宙の戦士』ですが、自分にとっては唯々カッコよかった。ここからアシモフ、クラーク、オースン・スコット・カード、ジェリー・パーネルなどなどとの出会いが始まります。

 たった1行の文字、遠くから見ればそれはただの黒いシミかもしれない。しかしそれが、誰かの人生の地図を塗り替えてしまう力を持つこともあると......。

 それを信じて、そして楽しんで、棚と遊べる書店人になりたいと思ってます。

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マルサン書店仲見世店 小川誠一
マルサン書店仲見世店 小川誠一
1968年生まれ。SF・冒険小説が大好き。最近は読むスピードが落ちているのが悩み。