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10月8日(金) ジョン・ダニングのこと

愛書家の死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 2-10)
『愛書家の死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 2-10)』
ジョン・ダニング
早川書房
1,050円(税込)
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ジンジャー・ノースの影 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『ジンジャー・ノースの影 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
ジョン ダニング
早川書房
777円(税込)
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 仕事部屋に入って、何気なく書棚を見ていたら、ちょうど目の高さに、ジョン・ダニング『ジンジャー・ノースの影』(三川基好訳/ハヤカワ文庫)があった。2000年に出た本だ。えっ、あったのか。
 実はこの本、古本屋で買い、そして読んだばかりだった。もちろん自分の書棚のどこかにはあるとわかっていたが、そんなのを探していたら時間がいくらあっても足りないので、こういう場合は買うことにしている。そのほうが絶対に早い。

『ジンジャー・ノースの影』を読もうと思ったのは、出たばかりのジョン・ダニング『愛書家の死』(横山敬明訳/ハヤカワ文庫)の訳者あとがきに、

 一九八〇年に発表されたダニングの長編第二作『ジンジャー・ノースの影』は、厩務員としての経験をもとに書かれた競馬界を舞台にしたミステリだ。

 とあったからだ。ダニングに厩務員の経験があるとは知らなかった。その『愛書家の死』も競馬界を背景にしているのだが、おお、『ジンジャー・ノースの影』も読みたい。そのときに書棚をまったくちらりとも見なかったのは、絶対に出てこないと勝手に決めてしまったからである。目の高さのところにあるとはショック。これが書棚の奥のほうにあったのなら、これは仕方ないなとなるのだが、まさか目の前にあるとは。

 しかしいちばんのショックは、その書棚の『ジンジャー・ノースの影』を取り出してみると、なんとページの端がばしばし折れていたこと。以前にも書いたけれど、私は本を読みながら、気に入った台詞やシーン、あるいは重要な局面などにぶつかるとページの端をばしばし折ることにしている。つまり、私は読んでいたのだ!

 古本屋で買ってきた『ジンジャー・ノースの影』をつい最近読んだばかりなのだが、読んでいる最中も昔読んだことを全然思い出さなかった。この小説、北カリフォルニアの小さな競馬場を舞台にした小説で、競馬場の雰囲気がよく描けている。訳者あとがきでも、「前半の、主に競馬場を舞台にする部分では、競馬のレースや、調教師、厩務員らの様子がいきいきと描かれているが、特に印象的なのが厩舎の建物の描写だ」
 と三川氏が書いているように、まるで競馬場にいるかのようにそれらが浮かんでくる。こういう小説を読んだことを忘れるだろうか。

 そこで調べてみると、『笹塚日記 親子丼篇』の53ページ下段に、

 続けて、ジョン・ダニング『ジンジャー・ノースの影』。こちらの読了は朝の5時。休む暇もなく、小説推理のコラム5枚。終了は朝の7時半。

 という記述がある。本当に読んでいるのだ。2000年11月7日の記述だから、小説推理2001年1月号にその評を書いていることになる。となると、そのときの感想を知りたい。10年前に読んだとき、私はこの小説をどう評したんだろうか。10年前も絶賛したんだろうか。それとも10年前にはこの長編の良さが私にはわからなかったかも。その可能性もある。

 急いで、パソコンのハードディスクに入っている過去原稿を調べてみると、なんとその次の号からしか私のパソコンには入っていない。この20年間に書いた原稿のすべてが入っているはずと思っていたのだが、全然違うんで驚く。小説推理の古い号を大宅文庫あたりにいって調べればすぐに判明するのだが、そこまですることもあるまい。しかし、気になるなあ。

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