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2月3日(火)

廃墟建築士
『廃墟建築士』
三崎 亜記
集英社
1,404円(税込)
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 朝、息子から「パパ、今日早く帰ってきて」と言われる。いつもは「レモンアイス買ってきて」しか言わないので変だなと思ったら、「鬼は外」との答え。そうか節分だったのか。娘も「パパ鬼をボコボコにしてやる」と肩を振り回しているので、今日は早く帰ることを決意。

 通勤読書は、『廃墟建築士』三崎亜記(集英社)。
 3の倍数でアホになるのは世界のナベアツだが、三崎亜記は建物の七階に人格を持たせ、市役所による侵略と七階保護活動家と戦わせたり、廃墟を新築させたり、図書館を生き物にしたり、蔵が話したりと、とんでもない発想をする作家だ。こう書くとなんだか意味がわかんない話だなと思われてしまうかもしれないが、実際はまったくそんなことはなく、その想像力に思わず吹き出して笑ってしまうほど面白い。かつて夢中になって読んだ眉村卓に近いかな。私は「図書館」と「蔵守」が好きだ。

 頭のなかには常時、線香花火が多数回っており、それは営業のことだったり、編集のことだったり、広告のことだったりするのだが、ある瞬間パーンと破裂して企画や方策が浮かぶのである。「24時間考えろ! 寝てる間も考えろ!」と言ったのは、建築家・安藤忠雄であるが、今の私はまさに24時間「本の雑誌」のことを考えている。

......あっ、ごめんなさい。嘘つきました。朝、娘と息子と遊ぶ15分と、帰宅後、撮り貯めているプレミアリーグを見る時は、「本の雑誌」のことなんて、これっぽっちも考えてません。

 ただ線香花火が爆発し、その瞬間までまったく存在しなかった企画を思いついたときの快感は何事にも代え難い。帰宅しようと思ったところに素晴らしい原稿が多数届いたので、すべてプリントアウトして、自宅に持ち帰る。

 7歳の娘が、渾身の力で投げる豆は、痛かった。

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