« 前のページ | 次のページ »

5月21日(木)

 飯田橋の深夜+1の店長浅沼さんとゆかいな営業マンたちの飲み会に参加。

 常連メンバーであるD社のKさんやF社のYさんとともに席を囲みつつ、初対面のH書房Tさんと名刺交換しようとしたらその手が震えているではないか。どうしたのかと伺うと、営業になって3ヶ月、書店さんとの飲み会も初めてで、無礼があってはいけないと緊張されていたようだ。

 私にもそういう時代があったなあと懐かしがっていると、D社のKさんが「ここにいる営業マンは存在自体が無礼なやつばかりだから気にしないでいい」と言っていた。

 その後も何となくどういう営業マンが良いのかという話題になり、順々にTさんが聞いていくのだが、ついに私の番になってしまった。

「えーっとですね、私の大好きなサッカー選手にフィリッポ・インザーギというFWがいるんですが、彼は特別上手いわけじゃないんですね。でもですね、なによりDFの視野から消えるのがうまくてDFが視線を切った瞬間にポジションを変えていて、ぐっと裏に飛び出すんですよ。それでパスを受けて、ワンタッチでゴールを決めちゃう。それはもうすごいFWなんです。

 で、営業も一緒だと思うんですよ。書店員さんにこっちが営業なのを忘れさせちゃう。例えば『タカサカさん(仮名)、Green Dayの新譜"21st Century Breakdown"最高なんですよ!』なんて話から音楽の話を小1時間もしていると、こいつは常連のお客さん? それとも古い友達か? って思うじゃないですか。そこへいきなり注文書を出してゴールを決めるんですよ。

 でもね、僕の場合、すっかりそのまま自分が何者なのか忘れちゃって、ああ楽しい時間だったなあって注文書も出さずに帰っちゃうことが多いんです。ただそうするとタカサカさん(仮名)が、心配して『さっき何も注文しなかったけど大丈夫なの? フェアでもしようか?』なんて言ってきてくれる。これを僕は"ごっつぁん営業"って呼んでいるけど、"ごっつぁん"は狙ってできるもんじゃなくて、天性のものだから難しいかも」

 なんて夢中になって話していたら、Tさんはゴボウの天ぷらを美味そうに食べていた。

« 前のページ | 次のページ »