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5月22日(金)

 高校の図書室の先生の前で本屋大賞などの話をして欲しいと依頼が来て、都内某所の高校へ向かう。

 学校という空間を心底嫌っている私であるが、会議室に入ると学校の先生がたくさんいて、20年以上前、たまに学校に行くと呼び出される職員室を思い出した。なぜ私はあんなに怒られていたのであろうか。その理由がまったく思い出せないが、先生方に囲まれて頭がカーッとなってつい高校時代教科書を買う金をパチンコに使ってしまい、2年間教科書を持たずに登校していた、いや登校したのは1年の半分くらいで、ほとんど遅刻、欠席、早退を繰り返していたなんて台本にない話をしたら、全員ぐっと目を見開き、私を見たのでおそらく掴みはOKだったのであろう。

 しかしなぜ私はあんなに学校に行かなかったのか?
 いや一応私もダラダラと家を出ていたのである。それでも週に1回くらいは自主的にサボろうと、母親が仕事に出た後、家に戻っていたのだが、私の周りにはそうやって自主的に週1回サボろうとするやつが、4人以上いて、奴らがそれぞれ私の登校コースにクモの巣を張っていたのである。

 ローソンで漫画を読みながら待っていたのはスズケンで、駅の改札にいたのは主ちゃんと、ヘーシで、電車で待ち伏せしていたのはシマダだ。そうやって私がせっかく学校に行こうと思って家を出た日も、結局、家に連れ戻されることになる。あの頃は携帯電話もポケベルもなかったのだが、なぜだかそれぞれどこへどの時間にいるのかわかった。気付いたら私は1週間も学校に行っていないことがしょっちゅうあった。ただ、そういうときは誰かが代返をしてくれていたので、なんとなく学校的には出席にカウントされており、友情がなければ私は高校を卒業できなかったであろう。

 いまでも学校が苦手であるが、今日会った先生たちは、高校生がどうしたら本を読むようになるか真剣に考えておられた。こういう人たちがいたら、いや私にもうちょっと大人の言うことに聞く耳があれば、私は高校にも居場所を見つけられたかもしれない。

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