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6月19日(金)

浦和レッズ LEGEND 2 赤き激闘の記憶
『浦和レッズ LEGEND 2 赤き激闘の記憶』
河野 正
河出書房新社
1,728円(税込)
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浦和レッズ LEGEND〈1〉赤き勇者たちの物語
『浦和レッズ LEGEND〈1〉赤き勇者たちの物語』
河野 正
河出書房新社
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 通勤読書は、埼京線のなかで鼻水垂らして号泣した『浦和レッズ LEGEND 1 赤き勇者たちの物語』の続編、『浦和レッズ LEGEND 2 赤き激闘の記憶』河野正(河出書房新社)であるが、やっぱりダメだ。また涙がこらえきれずあふれてしまう。

 2作目の今回は、選手ではなく、記憶に残る試合を1年1試合で書かれているのだが、ほとんどの試合を生で見ている私としては、いろんなものが走馬灯のように蘇り、まさに卒業式の「おもいでのアルバム」である。

 特に涙が止まらないのは、やはりJ2降格の1999年11月27日のサンフレッチェ戦で、当時私は兄貴と二人で駒場スタジアムの西側スタンドで見ていたのであるが、90分で決着がつかず延長が決まると、誰かがラジオで確認したのか「ダメだってよ」と呟いたのが聞こえ、スタジアムはざわざわした後、沈黙となった。2万人がいての沈黙である。

 しかし試合は続き世界一悲しいゴールを福田が決め、最終戦なので選手がスタンドを一周するのだが、肩を落とす選手に向かって我々は「WE ARE REDS」コールをし、そしてこの本に書かれているとおり「来年絶対昇格しようぜ!」と叫んでいた。

 確かその夜、村上龍がニュースステーションかなにかに出て「降格して声援を送るなんてヨーロッパでは考えられない」みたいな発言をし、私は愛するチームのない人は可哀想だなと思った。本当に愛していればJ1だろうが、J2だろうが、それこそ地域リーグだって変わらないのだ。しかもヨーロッパだって声援を送っているのである。

 その翌年にギリギリで昇格し、駒場は爆発しそうな騒ぎになったのだが、当時は確かトラックの運転手のKさんと一緒に見ていた。Kさんは誰よりも喧嘩っ早く、本当かウソかわからないけれどスタジアム入場停止になったこともあると話していた。

 そんな強面のKさんもファイナル5(残り5試合)になると、首から下げた大きな十字架を握り、何度も何度も祈っていた。その祈りが通じたのか土橋のミドルシュートが枠を捉え、J1昇格を果たしたのである。

 その翌年には私は出版関係の人たちと試合を見るようになり、Kさんとはすっかり会わなくなったのであるが、2003年ナビスコカップを制し優勝したとき、浦和の街で大騒ぎしていたらバッタリ顔を会わせた。

 その時、Kさんの隣には金髪の男たちがずらりと並んでいたのだが、Kさんは彼らに向かって「お前らが今喜んでいられるのは、俺たちみたいに弱い頃からずーっと応援していた奴らがいるからなんだ」と私の肩を力強く握って、レッズコールをはじめた。

 様々な試合は試合以上にいろいろな思い出を引きづり出す。
 この本は私にとって、いや多くの浦和レッズサポーターにとって、卒業アルバムだ。

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 新宿から川崎へ行こうと思い飛び乗った新宿湘南ライナーは、横須賀線だったらしく着いたのは「新川崎」。歩けるかな? と一瞬考えたのであるが、思いとどまる。電車が進み窓から見ると川崎の町は遥か彼方であった。良かった良かった。

 せっかく横浜まで来たので、横浜を一回りして、当初の目的地川崎へ。川崎の丸善さんには、付き合いの深いSさんが転職されて来ているのでついつい長話。独特なフェアや凝った展開などすでにSさんらしさが出始めていてうれしい。

 駅ビルBEがついに全館新装オープンとなり、有隣堂さんにも随分と人が入っていた。このお店は現在私の愛する書店ベストテンに必ず入るお店で、あるべき本がきちんとある本屋さんであり、フェアもオリジナルで、もし近所に住んでいたら毎日寄るだろう。

 しかし思い返してみると、私が営業を始めた頃は、川崎にはリブロがあり、文学堂もあった。そして丸善もあおい書店もなかったのである。どこもそうだが、十数年で街も書店も様変わりしているのだ。

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