6月29日(月)

- 『学問』
- 山田 詠美
- 新潮社
- 1,620円(税込)

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表紙を見た瞬間に傑作だと思い給料日前だというのに即購入した山田詠美の新作『学問』(新潮社)は、その期待を越える超傑作で、これは仕事どころではない、いや通勤している場合ではないと会社に向かうのをやめ、駅前エクセルシオール・カフェに飛び込み、最後まで読み続けてしまった。
7歳のときに父親の転勤で静岡県美流間市に移り住んだ仁美とその同級生であり、それぞれ人間の欲望の代表として描かれる心太、無量、千穂4人の人生を描いたものなのだが、性の目覚めから愛との関係性、そしてそのずっと先にあるはずの死の匂いなど、まさにこれは山田詠美にしか書けない小説で、かつて伊坂幸太郎の『重力ピエロ』の帯に「小説まだまだいけるじゃん」というとんでもないコピーがあったが、通勤をサボって読み終えた私の頭のなかにあったのは「小説やっぱりすごいじゃん」であった。
読み終えてしばしその世界に浸りつつ、ふとカバーに目をやるとそこに当然のごとくタイトル『学問』とある。この内容にこのタイトルをつけた山田詠美の凄さに改めてひれ伏す。『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子(文藝春秋)とともに今年ナンバー1の小説間違いなし! いやこれから先、永遠と読み継がれる名作だろう。
★ ★ ★
人生というのはわからないものだ。
あるとき池袋のS書店Yさんを訪問すると「杉江さんレッズサポじゃないですか」と分かりきったことを聞かれたので、その場で指を噛みちぎり真っ赤に流れる浦和レッズ型+の血を見せたのであるが、「でも知らないと思うんだけど」とある名前を口にした。
その名前は「岩瀬健」で、私はその名前を聞いた瞬間、なくなったことを忘れた指を顔の前で振り、「知らないも何も駒場や国立で何度岩瀬健の名前を叫んだと思っているんですか! あの頃は変動番号制とはいえ、浦和の10番の選手ですよ」と興奮して叫んだのであったが、後に続いたYさんの言葉を聞いて今度を思い切り沈黙したのであった。
「そうなんだ。私、岩瀬さんと友達だから今度呼ぶから飲もうよ。」
う、浦和レッズの選手(元)と酒を飲む?
ありえない。絶対にありえない。そんなことが私の身に起こるなんてありえない。いやありえたとしてもとても口を聞けない。
いやこれはきっと嘘だ。何せ引退してすぐの浦和レッズの大将こと福田正博とバッタリ埼玉スタジアムのフットサルコートで出会っただけで、私は福田のことをブラザーと呼ぶほどだ。それどころか娘の幼稚園にやってきた浦和レッズハートフルサッカーでは、娘よりも先に登園し、「手伝いますよ」と先生を装い、土橋正樹と渡辺隆正と一緒にゴールを運んだだけで、私は彼らふたりをマブダチと呼んでいるのだ。
だからきっとYさんもたまたま岩瀬健がお店に来て、本を買っていくときにレジに立っていたから「友達」と呼んでいるのだろう。ありえない、ありえない。
ありえないはずだったのに、この夜、はらだみずきさんの『サッカーボーイズ13歳』の文庫化を祝う会に参加するとそこに岩瀬健がいて、実はもう岩瀬健と会うのは3回目で、気付いたら浦和レッズのことなんかよりも、もっと深いサッカーの話や、岩瀬健は本が大好きで村上春樹や伊坂幸太郎などの話で盛り上がり、そしてその目に宿るプロという生き様に私はひれ伏していたのであった。
人生、何が起こるかわからない。
そのことを明日朝起きたら、娘と息子に伝えようと思う。
(敬称を略させていただきました)
7歳のときに父親の転勤で静岡県美流間市に移り住んだ仁美とその同級生であり、それぞれ人間の欲望の代表として描かれる心太、無量、千穂4人の人生を描いたものなのだが、性の目覚めから愛との関係性、そしてそのずっと先にあるはずの死の匂いなど、まさにこれは山田詠美にしか書けない小説で、かつて伊坂幸太郎の『重力ピエロ』の帯に「小説まだまだいけるじゃん」というとんでもないコピーがあったが、通勤をサボって読み終えた私の頭のなかにあったのは「小説やっぱりすごいじゃん」であった。
読み終えてしばしその世界に浸りつつ、ふとカバーに目をやるとそこに当然のごとくタイトル『学問』とある。この内容にこのタイトルをつけた山田詠美の凄さに改めてひれ伏す。『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子(文藝春秋)とともに今年ナンバー1の小説間違いなし! いやこれから先、永遠と読み継がれる名作だろう。
★ ★ ★
人生というのはわからないものだ。
あるとき池袋のS書店Yさんを訪問すると「杉江さんレッズサポじゃないですか」と分かりきったことを聞かれたので、その場で指を噛みちぎり真っ赤に流れる浦和レッズ型+の血を見せたのであるが、「でも知らないと思うんだけど」とある名前を口にした。
その名前は「岩瀬健」で、私はその名前を聞いた瞬間、なくなったことを忘れた指を顔の前で振り、「知らないも何も駒場や国立で何度岩瀬健の名前を叫んだと思っているんですか! あの頃は変動番号制とはいえ、浦和の10番の選手ですよ」と興奮して叫んだのであったが、後に続いたYさんの言葉を聞いて今度を思い切り沈黙したのであった。
「そうなんだ。私、岩瀬さんと友達だから今度呼ぶから飲もうよ。」
う、浦和レッズの選手(元)と酒を飲む?
ありえない。絶対にありえない。そんなことが私の身に起こるなんてありえない。いやありえたとしてもとても口を聞けない。
いやこれはきっと嘘だ。何せ引退してすぐの浦和レッズの大将こと福田正博とバッタリ埼玉スタジアムのフットサルコートで出会っただけで、私は福田のことをブラザーと呼ぶほどだ。それどころか娘の幼稚園にやってきた浦和レッズハートフルサッカーでは、娘よりも先に登園し、「手伝いますよ」と先生を装い、土橋正樹と渡辺隆正と一緒にゴールを運んだだけで、私は彼らふたりをマブダチと呼んでいるのだ。
だからきっとYさんもたまたま岩瀬健がお店に来て、本を買っていくときにレジに立っていたから「友達」と呼んでいるのだろう。ありえない、ありえない。
ありえないはずだったのに、この夜、はらだみずきさんの『サッカーボーイズ13歳』の文庫化を祝う会に参加するとそこに岩瀬健がいて、実はもう岩瀬健と会うのは3回目で、気付いたら浦和レッズのことなんかよりも、もっと深いサッカーの話や、岩瀬健は本が大好きで村上春樹や伊坂幸太郎などの話で盛り上がり、そしてその目に宿るプロという生き様に私はひれ伏していたのであった。
人生、何が起こるかわからない。
そのことを明日朝起きたら、娘と息子に伝えようと思う。
(敬称を略させていただきました)




