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11月9日(月)

世界屠畜紀行
『世界屠畜紀行』
内澤 旬子
解放出版社
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おやじがき―絶滅危惧種中年男性図鑑
『おやじがき―絶滅危惧種中年男性図鑑』
内澤 旬子
にんげん出版
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 その列車は、戸田公園駅で止まった。
 そのまままったく微動だにせず、1時間が過ぎた。
 動かない電車ほど役に立たないものはないし、戸田公園という中途半端な場所も始末に悪い。

「信号機故障により埼京線は運転を見合わせております。つきましては蕨駅行きのバスへの振替乗車をしておりますが、バスは1時間に3本の上、蕨駅までは30分ほどかかります。また1台に80人ほどしか乗れませんので、ご了承ください」

 私はいったいどうしたらいいんだ。電車が動き出すのを待つのか、それとも乗れるかもわからんようなバスを待つほうがいいのか。人生は常に決断である。
 

 結局、試験運転で動き出した反対方向行きの電車に乗り換え、改めて振り出しに戻って、京浜東北線に乗り込む。そのまま急遽連絡が取れた『世界屠畜紀行』の内澤旬子さんと打ち合わせ。

 その内澤さんが「あーパッとしねえ」と言うのでビックリする。豚飼いも終え、雑誌「世界」では連載も始まっているのだ。それ以外でも様々な連載があり、今いちばん脂ののっているノンフィクション作家といっても過言ではないと思うのだが、本人はいたってそんな気分ではないのである。

 高野秀行さんや宮田珠己さんもそうだし、新刊『放っておいても明日は来る』の登場メンバーもみんなそうなんだけど、どうしてこの人たちはこんなに満足しないのか。満足しないから今のポジションがあるんだろうが、それにしたって、何事にもすぐに満足してしまう私は、どうしたらいいんだ。降参。

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