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10月7日(木)

 昼、とある地方の書店の経営者さんが遊びに来られる。
 昼食をご一緒しながらいろんな話を伺う。

 書店の経営は主に、店売、外商、教科書販売によって成り立っているのだが、今のようなご時世だと店売は下がる一方で、だからその分、ある程度数字のつかめる外商や教科書販売に熱心な書店さんも多い。

 ただし教科書販売は、長年の付き合いにより取引ルートが決まっていたり、教科書自体の儲け幅は少なく、電子辞書を含めた副教材で儲けるかというところが大きいらしい。その年度ごと、あるいは先生の方針によって結構売り上げが左右されるそうだ。

 もうひとつの柱として外商があるのだが、ここが最近苦しいらしく、特に公共機関が入札制を導入してから、各書店の値引き合戦となり、ほとんど儲けの出ない掛け率で納品しているとか。

 この日その書店経営者さんから伺った公共図書館への納品掛け率は、目が飛び出るような低率で、しかも図書館がすぐそのまま使えるようにビニールコーティングするなどの装備までが条件付けされているそうだ。人件費や手間を考えたらどう考えても赤字ではなかろうか。

 なんだかよくわからないのは、本は再販制ということで、私も含めほとんどのお客さんが定価で本を買っているというのに、なぜ公共施設が本の値引きをせまるのか。それによって苦しめられるのは町の本屋さんであり、地元の本屋さんだ。町が本屋さんを育て、本屋さんが町を育てる。そのような良い環境は作れないのか。

 夕方、吉野朔実さんのところへお邪魔し、サイン本予約していただいたお客さんのため大量にサインをしていただく。吉野さんといえば、穂村弘さんとの公開対談も予定しているのだ。ご期待あれ。

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