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1月19日(水)

 お遍路グッズを持って川崎ラゾーナのM書店さんへ。

 こちらの担当Sさんは、『だいたい四国八十八ヶ所』の営業でチラシを見せた瞬間に「これ売れるよ」と言って、いきなり100冊の注文をくれたのであった。思わず私は「一、十、百」とその桁を数えてしまったが、どうも間違いないらしい。

 あまりに心配なので後日ゲラを送ってみたのだが、今度は「これマジで面白いよ。だから返金保証でどーんと売るよ」と掟破りの販売方法を提案してきたのであった。

「読んで更改したら返品受けます」
 それは書店員さんにとって本気も本気、ありえない本気だ。

 そこまで言われたら私も黙っているわけにはいかないので、1冊でも多く売るために何でもしようと、ひとまずお遍路といえばの菅笠と白衣を用意し、ポップ代わりに飾ってもらおうと持参したのだが、Sさんはマネキンを用意して待っていてくれたのだった。

「いやあ探せばあるね」

 恐ろしい人だ。

 恐ろしいのはそれだけでなく、そのSさんから「杉江さんの目標は?」と尋ねられたので、「とにかく注文いただいた分、売り切りましょう!」と答えると、ものすごく不満そうな表情をして、こう言うのであった。

「おれ、追加注文する気だから。待っててよ」

 明日から男たちのプライドをかけた戦いが始まる。

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