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2月25日(金)

「週刊文春」にて、『だいたい四国八十八ヶ所』と『世にも奇妙なマラソン大会』が同時に紹介され、両方の本の営業&編集をした私としては、気の触れるような興奮状態なのであった。

 しかもこれで『だいたい四国八十八ヶ所』は、ほぼ品切れ状態となり、重版も決定。直接報告すべく宮田さんの住むスットコランドへ。

「おめでとうございます」と祝福の言葉をかけると、宮田さんはちょうど前日重版(13刷!)がかかった『ときどき意味もなくずんずん歩く』(幻冬舎文庫)のことだと思ったらしく、「ああ、ありがとうございます。でもあの本しか売れないんですよ...」といつもの哀しみを帯びたロバのような表情をするので、「違いますよ! 『だいたい四国八十八ヶ所』の重版です!」と訂正したのであった。

 その瞬間の表情を見たくて、私はこの3年間頑張っていたのである。

 走馬灯のように、様々な記憶が蘇る。
 初めてスットコランドに訪れた日のこと、宮田さんの執筆部屋に並ぶたくさんの本を飽きずに見ていたこと、素敵なカフェでカフェめしを食ったこと、『スットコランド日記』を売りたくて丸坊主になったこと、帯のコピーを決めるために何度も携帯でメールし合ったこと、温泉に一緒につかったこと、なぜか引っ越しの手伝いをしていたこと、などなど。

 大好きな著者の本を、一生懸命作り、売るということは、なんて幸せなことなんだろうか。

 しかも、今回は、友であり、もっとも尊敬する書店員である丸善ラゾーナ川崎店の沢田さんと良文堂書店松戸店の高坂さん、三省堂書店の内田の強烈な後押しがあったからこその結果であり、それがまたうれしいのであった。

 やっぱりひとりでは、本を作り、売るなんてことはできない。
 そのことを教えてくれたのが『だいたい四国八十八ヶ所』だった。

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