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9月8日(木)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)
『殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)』
真梨幸子
徳間書店
700円(税込)
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コンニャク屋漂流記
『コンニャク屋漂流記』
星野 博美
文藝春秋
2,160円(税込)
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秋葉原事件―加藤智大の軌跡
『秋葉原事件―加藤智大の軌跡』
中島 岳志
朝日新聞出版
1,512円(税込)
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 何だか会社にでっかいダンボール箱が届いたので、開封しようとすると、事務の浜田がずかずか歩み寄ってきて、まるでジョン・テリーのようなショルダータックルをしてくるのであった。ちなみにジョン・テリーとはイギリスのサッカー選手で、チームメイトの奥さんと浮気するという凄腕の持ち主だ。

「新製品なんで、触らなでください!」
 と叫んだ浜田は、ダンボール箱を手刀で開けると、中から真っ白いトートバッグを取り出した。

「じゃじゃーん! 『三時のわたし』トートバッグが完成しました!」

 むむむ、いつの間にかそんなものを作っていたのか。随分とオシャレじゃないか。

「杉江さん! 私は今日から営業部の事務員じゃありませんから。新事業開発部の部長です。これからこのトートバッグを手始めに、Tシャツに、手ぬぐいに、バターに、チーズに、アイスクリーム、それからえーっとえーっと、本よりも儲かるものをドドドーンと開発していくんですよ。杉江さんの出版営業部とは売上で対決ですからね」

 そう言っていつの間にか刷っていた「新事業開発部 部長」と肩書きのついた名刺を差し出すのであった。

「ところでこれ、どこでどうやって売るの?」
「あっ、それは杉江さんが探して来てください」

 どうも新たな営業品目が加わったらしい。

★   ★   ★

 三省堂書店有楽町店さんを訪問。
 私が訪問しているお店のなかでは、秋葉原の有隣堂さんとともにもっとも本を売るのを楽しんでいるお店であり、そこかしこに手作りのパネルやPOP、そして文庫売り場では他の書店さんが作ったフリーペーパーまでもが配布されていたりする。

 なんて言ったらいいのかわからないのだけれど、私がこれまで触れてきた書店あるいは本屋さんという枠組みを超えて、本屋さんの新たな潮流というかエネルギーに溢れており、衒いのない売り場にいつ訪れても圧倒される。

 こちらのお店が現在熱烈プッシュしている文庫が『殺人鬼フジコの衝動』真梨幸子(徳間文庫)で、そのポップの力強さと、他の書店でも売れていく様を記した文章には思わず笑ってしまった。

『コンニャク屋漂流記』星野博美(文藝春秋)を読了。『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』中島岳志(朝日新聞出版)とともに、今のところ2011年ノンフィクションのベスト1。

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