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10月31日(月)

寿フォーエバー
『寿フォーエバー』
山本 幸久
河出書房新社
1,728円(税込)
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一匹羊
『一匹羊』
山本幸久
光文社
1,728円(税込)
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 土曜日の朝には80%まで回復し、向かった国立競技所では散々な目に会い、帰りにはまた熱がぶり返してしまった。日曜日はおとなしく寝ていようと思ったのだが、サッカーチームのコーチがあり、薬を飲んでグラウンドに立つ。

 心も身体もまだ本調子には程遠いが、いつまでも休んでいるわけにも行かず出社。

『パパは今日、運動会』(筑摩書房)がいまいちピンと来なかったので、読むかどうか悩んでいた『寿フォーエバー』(河出書房新社)なのであるが、『凸凹デイズ』のゴミヤが登場するとあっては読まねばならぬ。というわけで高熱でうなされるなか読みだしたのであるが、結婚式場を舞台に山本幸久らしいコミカルな展開と真っ直ぐな登場人物に引っ張られ、最後には何だか涙が溢れてしまった。やっぱり山本幸久はいいな。

 というわけで、すぐに『一匹羊』(光文社)も読む。こちらは若干トーンが抑えめな感じの短篇集なのだが、暮らしのなかでふっとした瞬間に現れる肯定してもいいような気分を描いており、やっぱり、いいのだ! 特にタイトルになっている『一匹羊』は、もうたまらない上手さで、読み終わったあと、「明日もがんばろう」と自然に足取りが軽くなることまちがいなしだ。

 それにしてもなぜ山本幸久の作品はこんなに面白いのにベストセラーにならないのだろうか。もはや文芸業界の七不思議の気がするけれど、通勤や出張のお供に、時代小説や警察小説の代わりに山本幸久をキャンペーンを張りたい。

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