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11月1日(火)

「本屋」は死なない
『「本屋」は死なない』
石橋 毅史
新潮社
1,836円(税込)
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 通勤読書は、『「本屋」は死なない』石橋毅史(新潮社)。
 おそらく『だれが「本」を殺すのか』佐野眞一(新潮文庫)と対をなすように書名が付けられたのだろうが、内容は出版業界紙「新文化」を退職した石橋さんが、全国の有名書店員さんに会いに行った「書店員放浪記」といったところか。そして語られるのはまさに「書店員"道"」。そういえば退職してすぐ石橋さんに会った時、「書店員さんの何万字インタビューとかしたいんですよね」と言っていたのを思い出す。

 営業でいろんな本屋さんを歩いていて気づくのは、どんな本屋さんにも役割というものがあるということだ。

 駅前の小さな町の本屋さんには町の本屋さんの、郊外の国道に面した書店にはその書店の、大都会の超大型書店には超大型書店の役割がある。いつだって棚を作るのは、書店員さんとそのお店に来るお客さんだろう。そしてお客さんの声を知ることができるのが、棚整理とスリップ、客注だと私は書店でアルバイトしていた頃、先輩から教わった。

 前日訪れた秋津のオリオン書房では、ヴァンフォーレ甲府サポーターHさんから「浦和レッズ大丈夫ですか?」といじめられながら、そんな話をしていた。秋津は西武線と武蔵野線の駅が離れているため多くの乗降客が商店街を歩いているのだが、日中と夜ではまったく客層が違うそうだ。ただこの地域では唯一の書店であるため、多くのお客さんが店頭に本が見つからなかったとき、注文を出してくれるらしい。「その注文される本を見ているととても勉強になるんです」とHさんは話していた。

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