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3月27日(水)

兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦
『兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦』
杉山 隆男
新潮社
1,728円(税込)
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ギャンブル酒放浪記
『ギャンブル酒放浪記』
大竹聡
本の雑誌社
1,728円(税込)
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通勤電車のなかで必死に涙をこらえながら読んだのは『兵士は起つ』杉山隆男(新潮社)だった。

 東日本大震災で救助の最前線に立った自衛隊員の方々を描いたノンフィクションなのだが、そのあまりの超人ぶりにひれ伏す。

 自らも津波にのみ込まれながらも溺れる人々を抱え、最後の体力を絞って救くい出し、昼夜問わずいつ寝たのかいつ食事をしたのかもわからないまま、いつかやってくるかもしれないその日のために鍛えあげてきた身体で、自らの家族の安否もわからないままひとりでも多くの命を助ける。デッドラインと言われる72時間を過ぎた後は、多くの遺体と向き合い、ギリギリの精神状態のなか亡くなった人や遺された人たちを想いながら収容する。

 もっとも強烈に私の胸を揺さぶったのは、ある自衛隊員とその息子とのやりとりだ。
 二十歳になる息子は、震災時、造船所の大型クレーンを運転していた。地上二十メートル、孤立無援になった息子は運転台から降りることができず、自衛隊員である父親に電話してくる。

「おとうさん、助けてくれ」

 しかし父親である自衛隊員には任務もあり、そして自らの基地も津波に飲み込まれ飛行機も流されていた。

 その後のふたりのやりとりに、もう涙が止まらないのであったが、果たして毎日ふわふわと生きている私に、私の娘や息子は、何かがあったときに「助けてくれ」と頼りにしてくるだろうか。私は頼りにされるほどの父親だろうか。そしてもしそのようなことがあったとしたら助けることができるだろう。

 せめて自分の家族だけでも守れる人間でいたい。

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 例年通り、本屋大賞発表会の準備とその発表号である「本の雑誌増刊 本屋大賞2013」営業で大わらわなのだが、今年はそこに『謎の独立国家ソマリランド』のヒットも加わり、やるべきことが次から次へとわいてくる。

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 そんななか東京堂書店さんのショーウィンドウを覗くと週刊ベストセラー第5位に『ギャンブル酒放浪記』大竹聡著が並んでいた。イベントがあったとはいえうれしいかぎり。

 気を良くしてギャンブル本のメッカであるオークスブックセンター東京ドーム店を訪問。担当のOさんから「売れてますよ」とこちらもうれしい言葉をいただく。

 馬券は外れたが、本は当たりますように。

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