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4月15日(水)

雑誌記者 (中公文庫 (R・16))
『雑誌記者 (中公文庫 (R・16))』
池島 信平
中央公論新社
1,543円(税込)
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 通勤読書は、今日企画会議があるので刺激になればと、以前坪内祐三さんの原稿で知り、古本屋さんで探索、発見、積ん読の山に置いておいた『雑誌記者』池島信平(中公文庫)。

 ところがこれが私の考えていたような編集者本ではなく、まずなにより良質なエッセイであり、文藝春秋の社史でもあり、ジャーナリズム論でもあり、戦中戦後史でもあり、戦争体験記でもあり、細かいトリビアの詰まった驚き本でもあり、そうしてやっぱり編集者論であるという、何もかもすべてが面白い一冊であった。

 しかしこんな本を読んでしまったら、とても自分には編集や出版などできるとは思えない。うなだれていると最後の一文はこう結ばれているのである。

「戦後、編集者の地位はたしかに上がったと思う。それは、困難ないろいろの条件と戦いつつ、みんながそうした実績をつみあげて行ったからである。私はその将来に対して、もっと楽観している。それは、新時代の教育を身につけた若くて有能な人々が競って、この道に集まってくるからである。わたくしは彼らに期待している。」

 午前中は企画会議。単行本の企画はすんなり進んだものの、雑誌はまったく閃かず、大苦戦。
 ちなみに『雑誌記者』では、菊池寛の企画の立て方についてこのように書かれている。

「菊池さんの頭は非常に思いつきに優れている。思いつきというのは軽いようであるが、企画は考えぬいた末の思いつきが一番大事である。長年の広い人生経験に裏打ちされた思いつきのよさは、雑誌では最も大切なことである。」

 本屋大賞という台風がさり、やっと通常業務に戻る。午後、じっくり営業。帰宅後、久しぶりにランニング。6キロ。

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