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10月19日(月)

気まぐれ古本さんぽ
『気まぐれ古本さんぽ』
岡崎武志
工作舎
2,484円(税込)
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古本屋ツアー・イン・ジャパン それから
『古本屋ツアー・イン・ジャパン それから』
小山力也
原書房
2,592円(税込)
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古本屋ツアー・イン・首都圏沿線
『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』
小山 力也
本の雑誌社
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 この日記では何度も書いてきたけれど、私は18歳までほとんど本を読んだことがなかった。字がいっぱいの本を読んで何が楽しいのかわからず、とにかく毎日、麻雀やらパチンコやらゲームやら仲間とつるみ遊んで暮らしていた。

 それが浪人して2ヶ月経ち、国語の成績が上がらないと同じく浪人している親友に相談したところ、本を読まないからだと諭され、2冊の本を教えてもらった。親や先生のいうことは聞く気がなかったけれど、親友の言うことは素直に聞けた。予備校の帰り道、本屋さんに寄って、文庫本を2冊買った。

 家に帰り、荷物を置いて、さてと1ページ目を開いた。それからどれくらい時間が過ぎたのだろうか。夕暮れ時だったはずが、物語の世界に引きずり込まれ、気づけば夜が明けていた。そして私は、本の世界で働くことを決意し、翌日から予備校に行くのをやめた。

 もう二度とあのような経験はできないだろうと思っていたのだが、この週末、ツタヤで借りてきた「ゴッドファーザー」の再生ボタンを押した瞬間同じことが起きた。他のものがまったく耳に入らない。メールも電話も子どもの声もまったく気づかず、現実に戻ったのは「ゴッドファーザー PART2」「ゴッドファーザー PART3」を見終えた9時間後だった。放心。

 一晩経ってもその興奮はまったく覚めず、「本の雑誌」のアル・パチーノとして裏切るものはすべて撃ち殺すと決意して出社。

 昨夜、NHKラジオ深夜便にて紹介された『百歳までの読書術』の注文の電話鳴り止まず。

 なんでもそうだけれど、一度にたくさん作れば一つあたりの原価は下がる。原価が下がればそれだけ儲けも増えるわけだけれど、予想どおり売れなかった場合は原価は逆にあがってしまい、保管料という別の費用もかかってしまう。

 だから本の場合、初版も重版も部数を絞り、リスクを抑える傾向にあるわけだけれど、ひと月ほど前、私はひとつの賭けに出た。基本の重版ロットの倍、『百歳までの読書術』を重版したのである。2回刷るのと1回で刷るのは20万円ほど違った。もちろん勢いがピタッと止まってしまうことはなきにしもあらず。いやよくあるこどだ。ここは勝負だ! と発注書にハンコを押した。

 今日、その勝負に勝った。そのとき刷った在庫がなくなろうとしているのだ。ガッツポーズ。
 まあ、この後、返品で負けるというパターンもあるのだけれど。

 夜、小山力也さんと岡崎武志さんのトークイベントin東京堂書店。満員御礼。岡崎さんの話芸が冴え、あっという間の1時間半。

 前代未聞、合計1200ページを越える古本本三冊『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』(本の雑誌社)、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』(原書房)、『気まぐれ古本さんぽ』(工作舎)が揃い踏みとなったこの秋。ぜひともこれらの本を読んで、古本探しの旅に出ていただければ幸いです。

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