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6月19日(月)失ったものの大きさに震える日

  • 浦和マガジン 2017年 07 月号 [雑誌] (Jリーグサッカーキング増刊)
  • 『浦和マガジン 2017年 07 月号 [雑誌] (Jリーグサッカーキング増刊)』
    朝日新聞出版
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 昨夜雨降る埼玉スタジアムで味わった悪夢は、一晩経ってもまったく覚めることなく最悪の気分で出社。開幕当初は大量得点の大勝利に酔いしれていたものの、大宮アルディージャの敗戦から躓き、ACLの歴史的逆転勝利で持ち直し、そして守備崩壊。まだ開幕して4ヶ月だというのにジェットコースターのようなシーズンに心が折れそうだ。

 よくよく考えてみれば開幕戦の横浜Fマリノスとの戦いのなかにすべての予兆があった。どこか監督更迭のニュースが届くのを待ち望みつつ、集中してデスクワーク。神経を使うメールを十数本送ると午後になっていた。

 刊行記念イベントをしていただくHMV&BOOKS TOKYOさんに『新・ニッポン分断時代』を事前納品。

 ブックファースト渋谷文化村公園通り店さんが6月4日に閉店してしまい、渋谷の書店事情がネガテイブに語られることが多いけれど、是非とも一度HMV&BOOKS TOKYOさんを覗いてみて欲しい。こんなに意志を持って創意工夫され本が並べられている本屋さんはそうそうない。ここに来ると不思議と書店員さんになって本を並べてみたくなる。本てこんな風に組み合わせて並べられるんだという驚きと楽しさにあふれているからだろう。どの棚も活き活きし、提案とわかりやすさを兼ね備えている。

 ただ、それにしても都内からどんどん本屋さんが減っていくのが恐ろしい。大きなところだけでもジュンク堂書店新宿店さん、リブロ池袋本店さん、紀伊國屋書店新宿南店さん、ブックファースト銀座店さん、そしてブックファースト渋谷文化村公園通り店さんと、それぞれの売り場を思い出すと、この十年でどれだけのものを失ってしまったのだと愕然となる。

 本が売れない売れないというけれど、実は東京でも本が買えなくなっている。ネット書店があるけれど、あれは本を買っているのではなく、注文しているのだ。

 夜、会社に戻り、内澤旬子さんと次回の着せ替えについて長電話。面白くなりそうでワクワクしてくる。

 そして帰宅しても監督は更迭されず、なぜか矢島の移籍情報の噂がネットを飛び交う。泣ける。「URAWA DAYS」を連載していただいている「URAWA MAGAZINE」最新号を読んで心を整え、就寝。

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6月15日(木)憧れの"行きつけの店"に行く日

 朝9時に出社すると1階の三和図書のOさんから「今停電になりましたよ」と声をかけられる。そういえば点検だかなんだかで雑居ビル全体が停電すると知らせが入っていたような。階段で5階に上がると営業のパソコンのバックアップシステムが停電を知らせる異常音を鳴らしていたが止める方法はわからないので、そのまま『新・ニッポン分断時代』の見本を持って、取次店さんへ。

 若干混雑しており、搬入は予定より一日遅れ。お茶の水の日販、飯田橋のトーハン、後楽園の大阪屋栗田、市ヶ谷の地方小と駆けまわり、昼過ぎに帰社。12時半より座談会の収録にギリギリセーフ。

 新刊見本を提出するとどうしても気持ちに一息ついてしまい、その後はダラダラと社内で過ごしていると、晶文社の麺喰い島田さんから教わり、私が最近偏愛吹聴している八重山そばの「みやら製麺」を食してきた求龍堂のYさんがやってきて「いやー美味しかった!」と大興奮。豚骨と鰹のダシの効いたアツアツのつゆを一口飲めば、まるで実家に帰ってきたような優しさが胃袋に染み渡り、自家製そばをもそもそと口に運ぶと食事をする悦びに包まれる。神保町行列麺店の丸香(さぬきうどん)と違わぬ感動の美味さ。

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 夜は、坪松博之さんと『Y先生と競馬』刊行お疲れ様会。なんと坪松さんが招待してくれたのは、Y先生こと山口瞳氏が『行きつけの店』でまず一番に取り上げた「鉢巻岡田」。しかも通された部屋には山口瞳氏の直筆原稿「不老ふう」がさり気なく飾られているのである。

 山口瞳氏の著作を偏愛している私にとって人生で一度は訪れてみたかったお店なのだけれど、まさか山口瞳氏の作品の登場人物である「坪やん」と訪問できることになるとは夢にも思わず、感動に打ち震える。

 しかもお店が足を崩していいのかわからないような高級料亭ではなく、まさに山口瞳氏が愛しそうな日常のなかの上級なお店で、若いころの氏が「鉢巻岡田」を学校と呼ぶようにここにはきっと本物の「大人」がたくさん通っているのだろう。

 岡田茶わん、鮎塩焼き、粟麩田楽、海老の揚げ真丈、穴子蒲焼きなどなど(当然ながらすべて美味)に加え菊正宗の樽酒。そして何より坪松さんとの愉しい会話。

 これを幸福と呼ばずなんと呼べばいいのか。諸君、この人生、たまには幸せなんだ。

6月14日(水)できない仕事はできる人に任せる日

  • One Way Ticket
  • 『One Way Ticket』
    J.J. Cale
    Sandoz
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 仕事の目標は、思いついたことはすべてやる、結果を考えずに仕事する。

 今月の新刊『新・ニッポン分断時代』のPOPを下書き。私のモットーは、苦手なことは努力しない、得意な人にすっかり任せる、なのでここから先は助っ人アルバイト学生で芸大の院生Hさんにお任せ。ラフと私のMacを渡し、デザインしてもらう。

 倉庫から『謎の独立国家ソマリランド』の帯とカバーが届き、交換の希望があった三省堂書店有楽町店さんに納品。今月22日には集英社で文庫化されるわけだけれど、4年半、ときには新聞で、ときにはテレビで、ときにはラジオで突然紹介され、予想外に売れる瞬間があったのだけれど、一度も在庫を切らさず品切れ期間を作らなかったのは、誰も気付かないけれど営業が最も誇れるGood Jobだ。決して刷り過ぎてもいないし、強弱をつけた重版発注も無駄はほとんどなかったはず。我が社は一切販売データを閲覧していないので、すべて私の勘。

 納品を終えて会社に戻ると『文体の科学』(新潮社)の山本貴光さんが編集の高野と打ち合わせ中。脇から入って刺激的な話を伺う。続いて『直木賞物語』(文春文庫)の川口則弘さんが来社され、こちらも高野と打ち合わせ。川口さんの著作を本の雑誌社から出せていないのは痛恨事なので、打ち合わせの合間に隙をうかがう。そうこうしていると「つるとはな」の岡戸絹枝さんも来社され、いったいこの会社はどうなってるんだ?!

 午後、取次店N社さんで、今秋とある書店さんで開催される予定の新たな試みの説明会に参加。面白そうだけれど、何かできることがあるだろうかとしばし悩む。

 夕方会社に戻ると、印刷会社『新・ニッポン分断時代』の見本が届く。装丁もしっくり決まって素晴らしい出来。初回注文〆作業。

 帰宅すると国内ではまったく買えず海外から取り寄せていたCDが届いていたので大興奮。J.J.CALE「ONE WAY TICKET」。早速iPodに入れて、ご機嫌にランニング8キロ。読書。

6月13日(火)忘羊社の藤村さんとランチの日

  • 忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)   〜エンブリー夫妻が見た〈日本の村〉
  • 『忘れられた人類学者(ジャパノロジスト) 〜エンブリー夫妻が見た〈日本の村〉』
    田中一彦
    忘羊社
    2,200円(税込)
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    honto
  • ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交
  • 『ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交』
    乗松 優
    忘羊社
    2,420円(税込)
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    HMV&BOOKS
    honto

昼、福岡の出版社で『忘れられた人類学者』や『ボクシングと大東亜』など骨のあるノンフィクションを出版されている忘羊社の藤村さんがやってきたので、SANKOUENでランチ。一大イベントであるブックオカの世話役もされており、その立場はもちろん立ち居振る舞いを含めて他人とは思えず、幽体離脱して我が身を見ている気分に陥る。

 雨降る中、直取引している駒込の本屋さんBOOKS青いカバに「本の雑誌」7月号を届ける。素晴らしい買取があったとかで店主のOさんが嬉しそうに本を棚に並べていた。

 雨がやんだのでランニングしようと慌てて帰るも、地元の駅に着いたときにまた雨が降り出す。長友の体幹トレをじっくり30分。息子と「FIFA2017」。読書。

6月11日(日)トレーニングマッチを観戦する日

  • あじフライを有楽町で (文春文庫)
  • 『あじフライを有楽町で (文春文庫)』
    洋子, 平松,水丸, 安西
    文藝春秋
    748円(税込)
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  • 降り積もる光の粒 (文春文庫)
  • 『降り積もる光の粒 (文春文庫)』
    光代, 角田
    文藝春秋
    726円(税込)
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    honto

 早朝、息子は中学校のサッカー部の練習試合へ。当番に手をあげた妻も一緒に出て行く。

 しばらくすると高校の同級生にしてサッカーチームのチームメイトのモリカワが、子どもの送迎のついでに来週末の磐田戦のチケットを交換にくる。ランニング8キロ。

 倉庫より空気入れを出し、私と娘の自転車に空気を入れていると、突然娘の自転車から空気が抜けていく。虫ゴムが破損してしまったらしい。開店を待って、自転車へ行き、虫ゴムを買ってくる。

 空気を入れ直した自転車にまたがり、娘とともに浦和レッズの練習場である大原サッカー場へ。今日は筑波大学とのトレーニングマッチが組まれているのだ。

 昨日は息子とファンサービスに来、日本代表組(槙野、宇賀神、遠藤)と調整中のラファエル シルバ、午後にレッドボルテージでサイン会が予定されていた関根と矢島以外の選手みんなからサインをもらった。

 サイン会終了後、ACL済州戦で頭のおかしい人たちから身を呈して選手を守った浦和の男・水上マネージャーが片付けを始めたので、声をかけ、感謝を伝える。私が今から選手にはなることはないだろうけど、いざという時戦える水上さんみたいな男になりたい。

 トレーニングマッチでは、矢島と長澤、伊藤の動きがなかなかよかったのと、田村が必死にプレイしていたのが印象に残る。しかしこれを埼玉スタジアムで見て評価(我慢)できるかどうかは別物。

 それにしても浦和レッズを好きになって25年も経つのに、去年の秋ごろからまるで惚れ直したかのように夢中になっているのはどういうことだ。

 おそらくそれは娘や息子が浦和レッズを愛し始めたおかげで再認識しているからなのだけれど、その辺の気持ちはただいま「URAWA MAGAZINE」の連載「URAWA DAYS」に執筆中。

 帰宅すると息子と妻もちょうど帰ってきたので、ペペロンチーノを作って食す。ベッドに横になり、昨日近所のツタヤで購入した平松洋子『あじフライを有楽町で』と角田光代『降り積もる光の粒』(ともに文春文庫)を読んでいるうちに寝落ち。ハッと目が覚めたら6時。長友の体幹トレを30分ほどして息子と風呂に入り、晩飯。

6月5日(月)サッカー映画読書で眠らずに出社の日

  • セブン [Blu-ray]
  • 『セブン [Blu-ray]』
    ブラッド・ピット,モーガン・フリーマン,グウィネス・パルトロー,ケビン・スペイシー,デビッド・フィンチャー
    ワーナー・ホーム・ビデオ
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 昨夜、柏レイソルとの決戦をテレビで観戦し、水曜日のACLラウンド16第2戦の大逆転から続いていた多幸感を一気に失い、あまりに私が暴言を吐き暴れるものだから、娘と息子に口と手を押さえつけられ、屋根裏部屋に閉じ込められてしまった。

 気分転換にとツタヤで「孤独のグルメseason1/2」と「レヴェナント 蘇えりし者」とともに借りていた「セブン」を見出したところ、あまりに凄すぎてレイソル戦のことはすっかり忘れたられたものの、魂をあの世に持っていかれてしまう。

 とても眠るどころでなくなり、こういうときは本を読むに限ると、『戊辰撩乱』(新潮文庫)を読んで以来すっかりファンになっている天野純希の新作『信長嫌い』(新潮社)を読み出す。するとこれがあまりに面白く、結局朝までかけて一気読み。

 今川義元、真柄直隆、六角承禎、三好義継、佐久間信栄、百地丹波、織田秀信と信長によって人生を狂わされた人々の視点から描かれる連作短篇で、敗れた側から描くというのは前作『燕雀の夢』(KADOKAWA)と同様なのだけれど、信長から秀吉、家康という流れを背景に織り込んでいるので、連作としてのまとまりが利き、ある意味長編小説を読んだような気分に浸れる。また信長本人でなく周囲から信長が描かれるので、かえってその怜悧で冷徹で狂人のような像がくっきり浮き上がってくる。素晴らしき傑作。信長好きの娘に貸す。

 というわけで月曜の朝なのに疲労困憊で出社。

『自分を開く技術』の伊藤壇さんが、今週放送の「クレイジージャーニー」に出演する予定なので、新たにPOPを作成。キンコーズにて出力。

 午後、営業。6月の新刊は、高野新編集部員による初企画、速水健朗×おぐらりゅうじ『新・ニッポン分断時代』。これがもう、私の知りたかったことが全部語られている興奮の書で、営業魂に火が灯る。

 三省堂書店神保町本店さんでは、尾崎世界観氏による推薦本を、直筆コメントを印刷したオリジナルカバーで包み、タイトルを伏せ販売している『世界観文庫』が、池井戸潤『アキラとあきら』(徳間文庫)を抑えての文庫売上堂々の第1位。まだまだいろんな本の売り方があるのだ。

 夜、会社に戻ると、目黒さんがやってくる。昨年からG1レースの度に送られて来る競馬予想メールは、目黒さんが安田記念にディープ産駒は来ないと断言したら来る、これぞ、目黒考二の絶対当たらない競馬予想のまま。

 突然のどしゃ降りのなか帰宅。息子を塾に迎えに行くまでの間に、長友の体幹トレを復活する。やっぱり、体幹をやっていたほうがサッカーが断然上手くなる。飽きずに続けよう。

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