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10月29日(日)

痛風発症3日目。ロキソニンがだいぶ効いてきたものの、左足を床につくことがまったくできず歩行困難。信濃町で開催しているイベント「BOOK MARKET2017」の店番をお休みす。来週の「神保町ブックフェスティバル」や「しのばずくん本の縁日」とともにスタッフ皆で割り振りし、当番を決めたのに大変な迷惑をかけてしまった。

 一日中、ベットに横になり、読書やらDAZNやらApple Musicやら。今もっとも熱視線を送っているサッカー選手、長澤和輝の初ゴールが観られたので、よしとしよう。

10月28日(土)

 昨夜、飯田橋ホテルエドモンドにて行われた第27回鮎川哲也賞の受賞式(受賞作は今村昌弘『屍人荘の殺人』は傑作とのことで、すでに三刷の重版出来!)の最中よりじわじわと足が痛くなり、飯田橋の駅まで戻るのに脂汗を流して帰宅したのだった。これは痛風発症!と薬箱を開けるも最愛のロキソニンがなく適当な痛み止めを飲んで寝たのだけれど、今朝起きたらもはや足を床につくことのできぬほどの激痛に襲われる。

 思い起こせば今週初め、ランニングしていたところなぜかアキレス腱が痛く首を傾げていたのだった。あれは痛風発作の前兆だったのか。しかも木曜日の健康診断では尿酸値が自己最高をマークしており、健診医より病院にて治療をするよう厳しく指導されたのだった。一歩遅かった。今は歩けないけど。

 足を引きずり三年ぶりに病院へ。血液検査の末、最愛のロキソニンと、尿酸値を下げる薬を処方してもらう。46歳、ついに薬と縁の切れぬ生活突入。

 一日中、ベットに横になり、読書やらDAZNやらApple Musicやら。トイレに行くときは四つん這いで進む。

10月24日(火)

 寝ても覚めても『オブリヴィオン』遠田潤子(光文社)だ。会う人、会う人に薦めている。仕事のメールも要件よりも『オブリヴィオン』のことを書いている。先日、丸善日本橋店であった「日本橋 BOOK CON」では、どんな読書相談にも『オブリヴィオン』を薦め、半日で4,5冊売ってしまった。それくらい素晴らしい。

 2016年は『雪の鉄樹』(光文社文庫)と作家・遠田潤子を発見する年だったわけだけれど、2017年は『オブリヴィオン』を読むためにあった年となるだろう。読まねばならぬ。読まねば激しく後悔する小説だ。遠田潤子恐るべし。この10年で、これほどのインパクトを持ったエンターテインメント作家はいないだろう。

 遠田潤子の小説はあらすじを紹介してもあまり意味がない。どこへ行き着くかわからぬまま、最初の一行から最後の一行まで、まるでジェットコースターに乗ったかのようにページをめくることをおすすめする。物語に圧倒され、物語とはこんなに力強いものなのかと改めて教えてくれるだろう。『オブリヴィオン』もそういう小説だ。読み出したら本を置くことができぬ小説だ。息を吸うのも忘れ、脈打つ鼓動は早まり、読み終えると放心しているだろう。

 遠田潤子という作家は、いったい何なんだろうか。どの作品も怨念のような、情念のような、不穏な空気に包まれており、曼珠沙華のように引き込まれる美しさと恐ろしさを兼ね備えている。そんな作品の中でも『オブリヴィオン』は、より強烈だ。早く読むべし。今すぐ読むべし。2017年、必読の小説だ。

10月23日(月)

 昨日、あれだけのどしゃ降りの中、埼玉スタジアムへ行ったのに、今日は雨が止んでもまったく会社へ行く気がしない。

 そんな私の気分を察知したのか武蔵野線が期待通りの働きをしてくれる。線路陥没で運転見合わせ。再開予定は11時。バスを利用して会社へ行けという意見もあろうが、会社はそこまでして行くところではない。

 着替えるのをやめて、ちょうど出張のためパソコンを持ち帰っていたので、電源を入れて家で仕事をする。もはや郵便物とFAXと無駄口以外会社に行く必要はなく、精神安定上、出社しない方が仕事は捗る。

 途中、土曜日の学校参観の振り替えで休みの中学一年の息子が覗きに来る。「それがパパの仕事? つまんなそう」と呟いて消えていく。まあ、見た目はつまんないだけれど、本を売るための努力をして、売れたときの喜びは、興梠慎三のゴールくらい気持ちいいのだ。いつか息子にもわかる日が来るだろう、が、まあ息子はできるならサラリーマンでなく、興梠慎三になって欲しい。まだ希望も夢も叶える時間がたくさんあるのだから。

 先週は木曜日から2泊3日で、宮田珠己さんの取材同行のため福井へ。前回の三重取材では、宮田さんが熱中症で救急車で運ばれるというアクシデントがあったので、今回はただただ平穏無事に取材が終わることを祈っていたら、平穏無事過ぎて、予定より半日早く終わってしまう。急遽、名古屋で途中下車し、「無脊椎水族館」の取材をして土曜日の夜に帰宅。

 武蔵野線が予想より早く復帰したので昼前に出社。台風一過。快晴。

 出張費の精算をして、新刊のチラシを作成。売り場縮小のためお世話になっていた書店員さんが退職されるとのことで、お別れのご挨拶に伺う。

 最近、またいちだんと人がやめていく。しかも年下の人がやめていく。やめていかざるえない状況に陥っている。作る人、書く人は相変わらずたくさんいるのに、売る人、運ぶ人はどんどん減っている。一番減っているのは読む人だが。

 心が暗黒星雲に支配されそうになったので、直帰して、6キロランニング。夜空を見上げながら走る。台風は空を綺麗にしてくれる。

10月2日(月)

週末、ついに我が家にネット回線がやってきて、今更ながらのDAZNを契約。その瞬間よりテレビの前から動けなくなる。JリーグはJ1からJ3まで、海外のリーグは、イギリス、スペイン、ドイツ、フランス、イタリアと中継されており、この2日間で10試合は観てしまった。もはやサッカー三昧どころかサッカー中毒。もしかしたら私は、サッカーが好きなのかもしれない。

 しかも調子にのってApple Musicとも契約してしまったので、あれこれ聴いているうちにどんどん時間が過ぎていく。これではとても本など読めない。目黒考二さんには、『酒と家庭は読書の敵だ。』という本があるけれど、私は『DAZNとApple Musicは読書の敵だ。』である。

 それにしても世の中どんどん便利になっていて、多くの人というのは便利で安い方へ川のように流れていくわけで、スポーツにしても映画にしても音楽にしてもゲームにしても、あるいはユーチューブやSNSなどネットから始まったものも、家にいながらたいへん安価に(無料から単行本一冊くらいの値段で)、ボタン1つであっという間に形もなく手に入るエンターテインメントなのであった。

 それに比べて、本や雑誌は、本屋さんや図書館に行かなければ手に入らず、しかも今は近所に本屋さんがある人の方が少なく、たとえ本屋さんに行ったとしても在庫があるとは限らず、Amazonの翌日配送ですら、すでに観たいときに観られる他のエンターテインメントに比べたらずっと遅く、出版業がどれほど異質なエンターテイメントになっていたか、今更ながら思い知る週末でもあった。

 そして、DAZNやApple Musicを前にして、自分自身、ほんとにまだ本や雑誌に魅力を感じてるのだろうか? という声が、胸のうちから聞こえてくる。

 いや、本や雑誌は変わらずに好きだ。この咀嚼しながらゆっくり身体に入ってくる感じは、他のエンターテインメントに比べて、私には心地よい。他のものを体験してみて、よりそう思う。こういう時間が私の生活にとって欠かせない。

 しかし、このままではエンターテインメント洪水に溺れてしまう。時間割を作ろうではないかと昨夜、ノートを手にした。

■読書 3日で2冊=120分/1日
■サッカー 1日1試合(浦和レッズ戦は別カウント)=90分/1日
■音楽 1日アルバム1枚=50分/1日
■ランニング 週で50キロ=270分/7日

 今週より、この時間割で過ごすこととする。

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 月曜日の午前中が、その週の仕事の成果を左右すると気付いたので、朝8時に出社。前夜作っておいたやるべき仕事リストに基づき、集中して片付けていく。12時半、ヘロヘロになって終了。たぶん今週はもう働かなくてもいいような気がする。

 営業。先月中旬より書店さんの一等地は、もう来年の手帳が並べられている。歯がゆい想いを抱えるも結局それは手帳の方が売れるから並べられるわけで、手帳よりも売れる本を作られねばならぬと決意する。

 夕刻、お客さん。本屋大賞は来年15周年らしい。

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