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2月9日(土)

 娘の受験に同行する予定が、近所に住む幼馴染も同じ大学を受けるということでお役御免。ならばランニングをと思ったものの粉雪が舞っており、こちらも断念。妻をパート先に車で送るとやることもなく、ベッドに横になって乙川優三郎『この地上において私たちを満足させるもの』(新潮社)を手にするも、娘の受験結果が気になり、まったく集中できない。

 本日、9時に娘が最も行きたい大学の合格発表があり、今はネットで確認できるようになっているのだけれど、娘から自分で確認するから絶対見ないでと釘を刺されているのだった。心配だからこっそり見てしまおうかと思ったが、約束を破るとどこかで神様が見ていて結果が変わってしまうかもしれず、布団を被って悶々と過ごす。

 娘は今日の試験が終わってから確認すると言っていたのでおそらく4時頃まで待つことになるだろう。それまで8時間どうやって過ごしたらいいのだろうか。そして合格した場合はいいけれど、不合格だった場合はどんな言葉をかけてあげればいいんだろうか。私も妻も大学には行っておらず、大学に受かろうが受かるまいが人生にそれほどの影響はないことを知っているけれど、部活を引退した春先からずっと参考書を手にしていた娘の努力は報われて欲しい。

 布団の中でまんじりと過ごしているうちに、スマホにメールが届く。毎日のように届くスポーツショップからのセールスメールだと思って開くと、なんとそれは娘からのメールであった。画面には「受かった」という文字と笑顔の絵文字が浮かんでいる。

 布団を蹴り飛ばして思わずガッツポーズ。それでも心の底から湧いてくる感情を消化できず、ランニングシューズを履いて、雪舞う外に飛び出す。

 誰もいないランニングコースで、何度も拳を突き上げ、キロ5分40秒で12キロ。全身ずぶぬれ、凍える寒さも気にせず、熱いシャワーを浴びながら涙を流す。

 パートを終えた妻を迎えに行き、帰り道にケーキを買って、娘の帰りを待つ。

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