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6月10日(月)

 通勤読書は書店員さんの熱意によって奇跡の復刊となった『黄落』佐江衆一(新潮文庫)。

 私小説の傑作といってもいいような著者、佐江衆一氏による両親の介護を記した作品だが、あまりに赤裸々で生々しく、しかしだからこそ心えぐられ、おそらくきっと数年後には私にも襲いかかってくる現実なのであろう。もちろん自分自身も介護される側になる可能性も大なわけで、果たしていったい私はその現実を乗り越えられるのだろうか。

 先週末に飲み会で会った、生まれた時から営業の才能に恵まれているような営業マンの話が脳裏から離れず。日帰り出張でとんでもない冊数の受注を手にし、また各書店さんの経営者とも昵懇の様子。歳も同じなのにどれもこれも私にはできないことばかり。結局、自分は最も自分に向いてない仕事に就いてしまったのだろうと思う。

 嘆いていても仕方ないので、心の中にその営業マンの顔を浮かべながら本日から営業に勤しむ。

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